2007 Fiscal Year Annual Research Report
ジフテリア菌ヘムセンサーのリガンド受容とリン酸化シグナリング
Project/Area Number |
19570143
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Research Institution | The Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
中村 寛夫 The Institute of Physical and Chemical Research, 城生体金属科学研究室, 専任研究員 (80270594)
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Keywords | ヘム / リン酸化酵素 / センサー / 膜タンパク質 / 病原菌 / 鉄 / ヒスチジンキナーゼ / 二成分情報伝達系 |
Research Abstract |
生物は鉄を必須の金属元素として細胞内呼吸の電子伝達や酸素運搬に利用しており、恒常的に環境から摂取している。病原菌にとって主要な鉄源は感染宿主の血液ヘモグロビンであり、ヘモグロビン由来の鉄はヘム鉄や非ヘム鉄として菌体内に取り込まれる。病原菌細胞内に取り込まれたヘムは直接ヘムとして利用されるほか、ヘムオキシゲナーゼによって分解を受け、遊離した鉄が非ヘム鉄として、また、ポルフィリンに取り込まれ、再びヘムとして機能する。 ジフテリア菌のchrS、chrAは遺伝学的に発見されたヘム応答系遺伝子であり、環境のヘム濃度に応じてヘムオキシゲナーゼ遺伝子(hmu0)の発現を誘導する。その塩基配列からバクテリアや菌類、植物に普遍的に見られる二成分情報伝達系であることが推定されていたが、本研究代表者はChrSタンパク質を発現させた大腸菌細胞膜を用いて、ヘム特異的センサーとして機能している可能性を見出した。本年度はChrSタンパク質のヘム受容とリン酸化の分子基盤に迫ることを目標として、細胞膜からの可溶化、精製を行った。ChrS発現系はヒスチジン10個を含み、プロテアーゼで切断除去できるタグをC末端に付加した。ChrSは界面活性剤であるデシルマルトシド、ドデシルマルトシド、シュクロースモノラウレートでは可溶化されたが、オクチルグルコシドでは可溶化されなかった。デシルマルトシドで可溶化、精製したChrSでは自己リン酸化活性が失われていたが、リン脂質膜(リボソーム)に埋め戻すことでリン酸化活性が回復し、ヘムを加えることでリン酸化活性の上昇が確認された。
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