2007 Fiscal Year Annual Research Report
幹細胞分化を制御するGCNFのDNAメチル化誘導機構
Project/Area Number |
19570146
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Research Institution | Tokyo Medical and Dental University |
Principal Investigator |
佐藤 憲子 Tokyo Medical and Dental University, 難治疾患研究所, 准教授 (70280956)
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Keywords | DNAメチル化 / エピジェネティック制御 / GCNF / Oct-3 / 4 / Dnmt3 |
Research Abstract |
GCNF(germ cell nuclear factor)はリガンドの同定されていないオーファン核内受容体であり、生殖細胞及び発生初期の嚢胚期の細胞に一過性に発現する。初期胚におけるGCNFの標的はOct-3/4やNanogなどのpluripotency遺伝子である。Oct-3/4遺伝子は、そのプロモーター領域のCpGがメチル化されることにより、嚢胚期以降、発現の抑制が維持(サイレンシング)されることが知られている。私はGCNFがde novo DNAメチル化酵素Dnmt3と相互作用することを新しく見いだし、GCNFがDnmt3を動員してOct-3/4プロモーター領域のCpGメチル化を引き起こすことを提唱した。本研究は、GCNFが標的遺伝子の発現抑制のみならず、DNAメチル化を誘導する分子機構を明らかにしようとするものである。具体的には、(1)主にプロテオミクス手法を用いてGCNF複合体構成の全貌を明らかにすること、(2)クロマチン免疫沈降法、ChIP-on chip等を用いてGCNF依存的メチル化標的遺伝子を網羅的に探索していくことを目標としている。平成19年度では、GCNF特異抗体を結合させた磁性ビーズを用いて、FLAG-GCNFとDnmt3aを共発現させた安定形質変換株の核抽出液の免疫沈降物のMS解析を行ったところ、Dnmt3a及び、他の核調節因子が相互作用していることが示唆された。同様にES細胞を分化させた胚葉体の核抽出液を用いて検討した結果、GCNF特異抗体は、胚葉体に特異的に高発現しているスプライシング因子とクロスするため、同じ抗体を用いたMS解析では、GCNF相互作用因子を同定するのは困難であることがわかった。そこで、GCNFに対するモノクローナル抗体を新規に作成し、免疫沈降、及びクロマチン免疫沈降への準備を進めた。
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