2007 Fiscal Year Annual Research Report
コンフォメーション病病原蛋白質の凝集を抑制する低分子化合物の作用機構
Project/Area Number |
19570155
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Research Institution | Osaka Prefecture University |
Principal Investigator |
恩田 真紀 Osaka Prefecture University, 理学研究科, 助教 (60311916)
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Keywords | セルピン / コンフォメーション病 / 痴呆 / タンパク質の折りたたみ / リフォールディング / 神経変性 / 凝集体形成 / 脳 |
Research Abstract |
本研究は、ポリマー化して若年性痴呆症を引き起こすニューロセルピンについて、ポリマー化抑止効果のある低分子化合物との相互作用を解明し、治療薬開発の基盤となる研究成果を上げることを目的としている。本年度は以下のような成果を得た。 (1)X線結晶構造解析:ポリマー化抑止剤の1つであるグリセロールを結合させた天然型ニューロセルピンの結晶構造解析に成功した。これと、on-カラムRefoldingという新奇の手法で調製した病原性ニューロセルピン変異体をポリマー化経路を解析した。その結果、ループの受け手であるシャッター領域に変異を持つ病原性変異体ではループ挿入が不安定性で、この領域を安定化する低分子化合物が有効であることが明らかとなった[学会発表1、4、6:いずれも連絡責任著者]。 (2)Refolding経路の解析:セルピンのポリマー化反応と密接に関わるRefblding経路の解析を、ニューロセルピン、及びポリマー形成能を持たないオボアルブミンについて行った。その結果、ポリマー化反応の根本原因である準安定天然型分子種は、セルピンのFolding経路上の必須の中間体であるという極めてユニークなFolding機構が明らかとなった[雑誌論文1、学会発表2、3、5:いずれも連絡責任著者]。 (3)新奇のポリマー化抑制物質の探索:ポリマー化抑止効果のより高い物質をNative-PAGEで探索した。その結果、正電荷を有するアミノ酸誘導体が有効であることが分かった。(1)のX線結晶構造解析の結果から、ニューロセルピンは広範囲の負電荷クラスターを表面に露出していることが明らかとなっており、この部分との相互作用がポリマー化抑止に関与していると考えられる[学会発表1]。また、ポリマー化抑止剤を高効率に標的細胞へ輸送するシステムについて、有望な系を見出すことに成功した[雑誌論文2:連絡責任著者]。
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