2008 Fiscal Year Annual Research Report
生体高分子間相互作用構造推定のため情報抽出法の開発
Project/Area Number |
19570157
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Research Institution | Ochanomizu University |
Principal Investigator |
由良 敬 Ochanomizu University, 大学院・人間文化創成科学研究科, 教授 (50252226)
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Keywords | タンパク質間相互作用 / シングレット / ダブレット / 相互作用推定 / タンパク質立体構造 / タンパク質DNA相互作用 / 共進化情報 / 計算生物学 |
Research Abstract |
本研究では、タンパク質と核酸およびタンパク質間の相互作用部位を推定することを研究目的とした。平成19年度より継続して、複合体立体構造が判明しているタンパク質から、本研究で独自に開発したシングレットとダブレットのタンパク質界面アミノ酸残基傾向を抽出し、その傾向値をもとにしてタンパク質立体構造情報から界面を推定することを試みた。この手法をタンパク質複合体推定国際コンテスト(CAPRI)で試した結果、ある程度の成果を得ることができた。出題されたタンパク質複合体構造予測問題では、単体の構造がすでにX線結晶解析で明らかになっており、複合体構造もすでに判明しているが公開はされていない。単体の構造から複合体を形成する界面を、本研究で開発した方法で予測し、その情報をもとにして複合体構造の推定を試みた。実験的に明らかになった構造予測結果とを第三者が比較したところ、本方法で正確な位置を推定することはできていなかったが、ドッキング構造を構築するための束縛条件にはなり得ることが明らかになった。界面傾向値の導出法は平成21年度に論文として発表する予定である。タンパク質と核酸の相互作用部位推定の研究では、核酸側の相互作用部位推定に成功した。葉緑体の転写後核酸(RNA)のどの部分にRNA編集酵素が相互作用するかをRNAの情報のみから推定することは今までできなかったが、核酸配列にシングレットとダブレットの傾向値計算を導入することで、RNA配列が与えられたときにその部分にRNA編集酵素が相互作用するかどうかを60%程度の精度で予測できるようにした。今回はある特別な生物種にのみこの方法を適応して成功したが、他の生物種のRNA編集酵素についてもうまくいくと考えており、現在方法の拡張を試みているところである。
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