2008 Fiscal Year Annual Research Report
アミロイド線維の構造形成における基本的共通原理の解明と検出技術への応用
Project/Area Number |
19570160
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Research Institution | National Institute of Advanced Industrial Science and Technology |
Principal Investigator |
森井 尚之 National Institute of Advanced Industrial Science and Technology, 生物機能工学研究部門, 主任研究員 (80358176)
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Keywords | アミロイド / 線維 / アルツハイマー / 立体構造 / 構造モデル / 残基間相互作用 |
Research Abstract |
アルツハイマー病のアミロイドベータタンパク質42残基について、ストランド長を短くした「ストランド-ターン-ストランド」型設計分子を系統的に作成してコア領域のより精密な絞り込みを行った。その結果、分子内でペアとなってコア領域を形成する2本のベータ構造ストランドのうち1本は(16-21)部分で共通であるが、もう1本のストランドは、最もアミロイド形成性の高い特定の残基配列部分の他に、これより1あるいは2残基分をシフトさせた残基配列部分においても、ある程度のアミロイド形成性が認められた。このことは本タンパク質が形成するアミロイド性凝集体が、線維状及び顆粒状などの多様な形態をとりうることとの関連性を示唆しており、アミロイド化の分子基盤解明において重要な発見である。また同手法によるベータ2ミクログロブリンの系統的解析では、高アミロイド形成性領域として20番残基付近から始まる2本のストランドペアを特定することに成功し、さらに単一ストランド型のアミロイド形成が2か所の残基領域で可能であることを見いだした。これはタンパク質変性の程度に応じて異なるアミロイド線維が形成される現象を説明する上で重要な知見である。これらの実験結果から構築されるアミロイド構造モデルは「N端部-ストランド-ループ-ストランド-C端部」型にまとめることができ、そのストランド部以外の領域はコア領域のサイズ的制約を強く受けるために、タンパク質残基長の増大に伴ってベータシート積層数が減少し、ついには線維形成が困難になる可能性があることが理論的に導かれた。このことは線維化しない異常プリオンの構造特性を支持する。さらに、独自の構造モデルに基づいて設計したアミロイド性ペプチドにおいて、そのターン部分にプロリンを導入すると自己単独アミロイド化能が著しく低下することを明らかにした。これはアミロイド認識分子として応用が期待される。
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Research Products
(4 results)