2007 Fiscal Year Annual Research Report
癌性変化を特異的に感知するE2Fによる新たな転写制御機構の解析
Project/Area Number |
19570163
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Research Institution | Tokyo Medical and Dental University |
Principal Investigator |
大谷 清 Tokyo Medical and Dental University, 疾患遺伝子実験センター, 講師 (30201974)
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Keywords | E2F / 転写制御 / 癌抑制遺伝子 / p14^<ARF> / p27^<Kipl> / TP73 / DP / pRB |
Research Abstract |
我々は、転写因子E2Fが癌抑制遺伝子産物pRBの機能不全を特異的に感知し、癌抑制遺伝子産物p53の活性化に関わる癌抑制遺伝子p14^<ARF>の発現を誘導することを報告した。この転写制御機構はpRBの機能不全に伴う癌化の抑制に重要と考えられるので、その詳細を解析している。E2Fによる増殖関連遺伝子の制御にはパートナーであるDP分子が必須であるが、E2Fによるp14^<ARF>遺伝子の発現誘導にはDP分子が必要ないことを見出した。従って、E2Fは細胞増殖制御とは異なる転写制御機構で癌化抑制に関与していると考えられる。 E2Fによる癌化抑制の具体的な制御機構を探る為に、E2F分子の受ける修飾の違いを検討した。アセチル化を受けない変異体E2Fは野生型E2Fと同等にp14^<ARF>プロモーターを活性化したことから、E2Fのアセチル化は関与していないことが示唆された。E2Fがリン酸化を受けうる部位二カ所に変異を導入したが、同様に変化は認められなかったのでこの部位のリン酸化も関与していないことが示唆された。他のリン酸化部位に関して検討中である。pRBによる制御を逸脱したE2Fと相互作用する因子を検索するために、二つの異なるタグを付けたE2Fを発現する組換えアデノウイルスを作成した。過剰発現したE2Fをタグに対する抗体で順次免疫沈降し、特異的に共沈する因子を検索中である。サイクリン依存性キナーゼp27^<Kipl>遺伝子と癌抑制遺伝子TP73もpRBの機能不全に特異的に反応することを見出した。pRBの機能不全を特異的に感知するE2F反応性配列のコンセンサスを求めるために、p27Kipl遺伝子のE2F反応性エレメントを同定した。その配列は増殖関連遺伝子の典型的なE2F反応性エレメントに近くコンセンサス配列は導けなかったので、TP73遺伝子のE2F反応性エレメントを検索中である。
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Research Products
(3 results)