2008 Fiscal Year Annual Research Report
熱ショック転写因子による多様な塩基配列の認識と生物間での普遍性
Project/Area Number |
19570164
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
桜井 博 Kanazawa University, 保健学系, 准教授 (00225848)
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Keywords | ストレス応答 / 熱ショック転写因子 / 培養細胞 / 酵母菌 |
Research Abstract |
高温などのタンパク質変性ストレスから細胞を守る熱ショック応答反応は、すべての生物に普遍的であり、シャペロンとして機能する熱ショックタンパク質(HSP)が中心的な役割を担う。真核生物のHSP遺伝子の発現は、HSE(heat shock element; nGAAnのinverted repeat)とこれに結合し転写を制御するHSF(heat shock factor)により制御されている。HSEのnGAAn配列は連続または不連続であるが、この違いが転写活性化にどのような影響を与えるかについては不明な点が多い。本年度は、3種類のヒトHSF(HSF1, HSF2, HSF4)とHSEとの相互作用、および、さまざまな生物のHSFとHSEとの相互作用について検討した。 ヒトHSF1, HSF2, HSF4のcDNAを鋳型としてin vitroでタンパク質を合成し、この生化学的性質を調べた。3種のHSFを酵母菌やHeLa細胞内で発現し、HSP遺伝子および種々のレポーター遺伝子の転写活性を解析した。この結果、HSF1とHSF2は連続型HSEに強く結合するのに対して、HSF4は連続型と不連続型の両方のHSEに結合することが明らかになった。一方、シロイヌナズナ、線虫、ショウジョウバエ、ゼブラフィッシュのHSF cDNAをクローン化し、上述のように、in vitroで合成したタンパク質の生化学的性質、酵母菌での転写活性について検討した。線虫とゼブラフィッシュのHSFは連続型HSEに強く結合するのに対して、シロイヌナズナとショウジョウバエのHSFは連続型と不連続型の両方のHSEに結合することが明らかになった。これらの結果より、HSE配列の多様性は遺伝子特異的およびストレス特異的な転写調節に関与する可能性が示唆された。
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