2008 Fiscal Year Annual Research Report
DLKーJIPーJNK複合体による細胞内輸送制御の新たな分子機構解明
Project/Area Number |
19570167
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Research Institution | Yokohama City University |
Principal Investigator |
平井 秀一 Yokohama City University, 医学研究科, 准教授 (80228759)
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Keywords | JNK / JIP1 / 輸送 / シグナル伝達 |
Research Abstract |
種々の細胞が持つ独特の機能は、その細胞でどのようなタンパク質を合成するかといった遺伝子発現のレベルの他に、合成したタンパク質(或いは脂質、糖、核酸)をどこに配置するかということに大きく依存している。このような特異的な(方向性を持った)物質輸送は、特に神経細胞のような高度に極性化した細胞の発生過程に於いても重要な意味を持つものである。これまでに種々の細胞内小器宮へのターゲッティングの分子機構については既に多くの研究報告があるが、細胞質内に於いて輸送の方向性や効率を制御する分子機構についてはほとんど分っていない。本研究ではこれの解明に向け、DLK-JIP-JNK複合体を切り口とした解析を行った。JIP1はキネシン(kinesin-1)と結合し、その活性化を促すタンパク質であり、キネシンは細胞内の物質輸送を司る主要なモータータンパク質の一つであることから、我々はこのJIP1の機能を制御するシステムの解明が細胞内輸送制御のシステムを知る上で重要と考えた。そこでまずキネシンとJIP1との結合制御に与るドメインをJIP1上に同定した。さらにこのドメインに特定のカーゴ分子(輸送物質)の結合することがキネシンの活性化に繋がる事を示唆する結果を得た。現在この分子の同定を進めると共に、JIP1の他の部位に結合するJNK,DLKといったシグナル伝達因子のこのシステムへの関与を検定している。神経細胞内での物質輸送の異常が様々な神経疾患の原因になることが近年報告されていることから、このような独自の切り口からの研究を展開することは神経細胞の発生や機能制御に関わる複雑な分子システムの解明に大きく貢献するのみならず、神経疾患の原因究明や治療法の開発に役立っことが期待される。
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Research Products
(5 results)