2007 Fiscal Year Annual Research Report
アクチン骨格ダイナミクスにおけるコフィリンの作用機構の解明
Project/Area Number |
19570174
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
大橋 一正 Tohoku University, 大学院・生命科学研究科, 准教授 (10312539)
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Keywords | アクチン骨格 / コフィリン / LIMキナーゼ / Slingshot / GFP / Dronpa / イメージング / リン酸化 |
Research Abstract |
コフィリンは、アクチン線維の切断・脱重合活性を持ち、アクチン骨格の再構築において最も重要な制御因子の一つである。私たちは、コフィリンがLIMキナーゼによってリン酸化(不活性化)されSlingshotによって脱リン酸化(活性化)されることを発見し、コフィリンの時空間的なリン酸化制御が細胞運動、極性形成に重要な働きを持つことを明らかにしてきた。これまでに分割GFPを用いてコフィリンとアクチンの結合を検出するプローブの作製を進め、不可逆的ではあるがコフィリンとアクチンの結合に依存して蛍光発色する分割GFPプローブを作製することに成功した。さらに、このプローブを用いてGFPの発色を指標としたLIMキナーゼとSlingshotの阻害剤のハイスループットスクリーニング法を確立し、Srcチロシンキナーゼファミリーに対する特定の2種類の阻害剤がLIMキナーゼに対しても作用することを発見した。これらの研究成果を受け、得られたLIMキナーゼに対する阻害剤の特異性を測定し、一つの化合物はSrc型チロシンキナーゼよりもLIMキナーゼに対する効果が強いことが明らかにした。さらに、他方の化合物の誘導体を作製して化合物の官能基と活性阻害の相関を解析してLIMキナーゼの阻害に必要な官能基を同定し、さらに特異性の高い化合物の設計に有用な情報を得た。また、細胞内のアクチン動態を解析するために可逆的光活性化蛍光タンパク質であるDronpaを用いて細胞内の遊離アクチン(G-アクチン)量の変化をリアルタイムで計測する測定方法を確立した。この解析方法で細胞内のアクチン量の変化を解析した結果、コフィリンは細胞内のG-アクチンの約半分を供給していることを明らかにした。また、刺激依存的なラメリポディア形成時に細胞内のG-アクチンが顕著に減少し、コフィリンのリン酸化とG-アクチン量の変化に相関があることが強く示唆された。
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