2009 Fiscal Year Annual Research Report
細胞膜損傷を契機とした微小管配向再構築における微小管プラス端集積因子の役割の解析
Project/Area Number |
19570175
|
Research Institution | St.Marianna University School of Medicine |
Principal Investigator |
東郷 建 St.Marianna University School of Medicine, 医学部, 講師 (40334247)
|
Keywords | 微小管 / プラス端集積因子 / adenomatous polyposis coli / EB1 / カルシウム / GSK-3β / チロシンキナーゼ / 膜修復 |
Research Abstract |
細胞膜損傷は細胞内Ca^<2+>濃度の上昇を介して、微小管配向を変動させる。これまでの研究から、微小管配向を制御すると一般に考えられている微小管プラス端集積因子(+TIPs)のうち、EB1とAPC(adenomatous polyposis coli)が細胞膜損傷を契機として細胞内局在を変動させること、また他の+TIPsは細胞内Ca^<2+>濃度の上昇に反応しないことを明らかにしてきた。細胞内Ca^<2+>濃度の上昇からAPCの細胞内局在変動に至るシグナル伝達系を解析したところ、Ca^<2+>の流入によってチロシンキナーゼが活性化され、活性化されたチロシンキナーゼは更にGSK-3βを活性化し、APCの細胞内局在の変動を引き起こしていた。 Ca^<2+>蛍光指示薬を用いてAPCの局在変動と細胞内Ca^<2+>濃度変化の同時観察を行ったところ、細胞内Ca^<2+>濃度上昇の66.7秒後にAPCの局在変動が見られることが分かった。また微小管とAPCの同時観察を行ったところ、細胞膜損傷は損傷箇所近傍で微小管の脱重合を引き起こすものの、細胞の他の領域における微小管の脱重合は引き起こさないこと、微小管の脱重合が起こっていない領域においてもAPCの局在変動が認められることが明らかとなった。また、Ca^<2+>-チロシンキナーゼ-GSK-3βのシグナル伝達系は、EB1の局在変動とは無関係であることも明らかに出来た。 以上のことから、細胞膜損傷は損傷箇所からのCa^<2+>流入を引き起こし、細胞内Ca^<2+>濃度の上昇はチロシンキナーゼの活性化、GSK-3βの活性化を経て、APCと微小管との親和性を制御することで、APCの微小管からの解離を引き起こすことが分かった。またこのシグナル伝達経路は微小管の重合・脱重合およびEB1の局在そのものには影響を与えておらず、APC特異的に作用していることも分かった。
|