2008 Fiscal Year Annual Research Report
細胞の極性成長を支える多分子間相互作用ネットワークの解析
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19570181
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
紅 朋浩 Nagoya University, 大学院・医学系研究科, 助教 (00222513)
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Keywords | 細胞骨格 / 微小管 / キネシン / 先端成長 / 糸状菌 / 分子モーター |
Research Abstract |
糸状菌A. nidulansのゲノム中には10グループのキネシンが11の遺伝子によってコードされている。そのうち必須遺伝子であるBimCを除き、10種の遺伝子についてノックアウト株を作成し、寒天培地上での成長を比較したところ、1種類を除き、ほとんど野生株と同程度の成長を示した。成長の悪い1種類はKinAというキネシンで、このキネシンが菌糸成長に影響することは既に報告されており、それを確認するものであった。KinAノックアウト株は、遅いながら依然極性成長を示す。おそらく他にも極性成長を支える分子が存在すると考えられることから、さらに複数のキネシンがノックアウトされた株を解析し、KipBとの二重破壊が成長阻害をもたらすことなどが判明した。 一方、キネシンの機能を考える上で、キネシンの細胞内局在が参考になると考え、11遺伝子のキネシン全てについて、やはりジーンターゲッティングによる蛍光タンパク質標識を行なった。11種のうち9種について、それぞれの特徴的な局在が観察された。その局在パターンから、菌糸成長に関わるもの、染色体分配に関わるもの、あるいはその両方に関係するものなど、機能との因果関係を考慮するのに重要な知見を得ることができた。イメージング手法を用いることでさらに詳細な動態を調べ、菌糸成長に関わると考えられるキネシン間でも、物質の輸送と深くかわるもの、微小管ネットワークの構築に関わるものなど、具体的な役割において機能分化があることが示唆された。また、MKLP1タイプのもの、Kidタイプのものについては、新規な局在が判明し、今後機能を探る上で重要な知見であった。今回のように遺伝子ターゲッティングによってゲノム上遺伝子に直接蛍光タンパク質遺伝子を標識することはこれまで為されていなかった。これまでの報告に比べ、より本来に近い状態の遺伝子産物の動きを捉えることで、すでに報告のあるものについても、新たな知見を得ることができた。
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Research Products
(8 results)