2007 Fiscal Year Annual Research Report
ミトコンドリア由来活性酸素種に依存した新規TGFβシグナルとその生物学的意義
Project/Area Number |
19570185
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Research Institution | Showa University |
Principal Investigator |
柴沼 質子 Showa University, 薬学部, 准教授 (60245876)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
野瀬 清 昭和大学, 薬学部, 教授 (70012747)
金山 朱里 昭和大学, 薬学部, 助教 (10338535)
森 一憲 昭和大学, 薬学部, 助教 (60349040)
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Keywords | TGFβ / ミトコンドリア / 遺伝子発現 / matrix metalloproteinase |
Research Abstract |
TGFβシグナルについて、ミトコンドリアに依存して遺伝子発現を制御する経路が存在することを見出した。この経路はTGFβにより誘導される遺伝子のうち、約15%の遺伝子発現に関与していた。その中には細胞の接着、運動、浸潤の制御に関わるものが多く含まれていたが、特にがん細胞の浸潤に重要なmatrix metalloproteinase-9(MMP-9)が含まれていた。一方、この経路はTGFβによる増殖抑制活性には必要とされず、TGFβによる細胞の悪性化形質誘導に特異的な経路であると考えられた。 そこで、TGFβ刺激によるミトコンドリアの活性変化について、マウス乳腺上皮細胞を用いて検討したところ、TGFβ処理によりミトコンドリア呼吸鎖複合体1の活性の低下とともにミトコンドリア膜電位が低下し、活性酸素の産生も抑制された。これらの変化がシグナルとなって遺伝子発現の変化につながると考えられた。そこで、TGFβによるMMP-9発現制御メカニズムの詳細を検討したところ、転写因子CREBをコアとする転写抑制複合体が関与していることが示唆された。 CREBは核とミトコンドリアに局在する転写因子であり、そのリン酸化状態は、TGFβ刺激によりミトコンドリア内活性酸素濃度の低下と呼応して上昇する。今後、CREBを中心に、ミトコンドリア活性変化を介するTGFβシグナル伝達系の全容を分子レベルで明らかとする予定である。
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