2007 Fiscal Year Annual Research Report
染色体核内配置関連因子の探索を目的とした分裂酵母核膜タンパク質の網羅的解析
Project/Area Number |
19570194
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Research Institution | National Institute of Information and Communications Technology |
Principal Investigator |
近重 裕次 National Institute of Information and Communications Technology, 第一研究部門未来ICT研究センター・バイオICTグループ, 主任研究員 (60359081)
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Keywords | Schizosaccharomyces pombe / 核膜 / 減数分裂 / テロメア / 染色体 |
Research Abstract |
本研究では、染色体配置における核膜のはたす役割の分子機構を明らかにする目的で、分裂酵母ゲノム中に見出される膜タンパク質の中から核膜タンパク質を同定し、その機能解析を行う。 bouquet配置は、中心体(酵母では、SPB: Spindle Pole Body)近傍にテロメアがクラスターを形成する特徴的な染色体配置で、多くの生物種の減数分裂期にみられ、減数分裂における相同染色体の対合に重要な役割を担っていると考えられている。 本研究では、分裂酵母のbouquet形成に必須の役割を果たす、新規のタンパク質を二つ同定し、それぞれBqt3, Bqt4と命名した(bouquet)。両遺伝子の破壊株は、生育可能であったが、減数分裂においてbouquet形成に欠損を示した。いずれのタンパク質も、そのアミノ酸配列中に膜貫通ドメインを含み、蛍光顕微鏡、および、電子顕微鏡を用いた観察から、核内膜に局在する新規の核膜タンパク質であった。酵母ツーハイブリッド法を用いた解析から両者は、複合体を形成すること。遺伝学的な解析から、両タンパク質が正常に機能するためには、互いの存在が必須であることが明らかとなった。さらに詳細な解析をすすめたところ、Bqt4タンパク質は、そのC末端側でBqt3タンパク質と相互作用することで核内膜へ局在し、一方、核質側へむけたN末端側で染色体テロメアと相互作用することで、テロメアの核膜局在を保持する役割を担っていることが判明した。従来、テロメアの核膜局在に関与するとされる因子はいくつか報告があるが、Bqt4のようにそれ自体に膜貫通ドメインを有する膜タンパク質は、見つかっておらず、本研究では、Bqt4を、染色体の核内配置において直接的役割を果たす核膜タンパク質として、はじめて同定することができた。
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