2008 Fiscal Year Annual Research Report
染色体核内配置関連因子の探索を目的とした分裂酵母核膜タンパク質の網羅的解析
Project/Area Number |
19570194
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Research Institution | National Institute of Information and Communications Technology |
Principal Investigator |
近重 裕次 National Institute of Information and Communications Technology, 未来ICT研究センターバイオTCTグループ, 主任研究員 (60359081)
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Keywords | Schizosaccharomyces pombe / 核膜 / 減数分裂 / テロメア / 染色体 |
Research Abstract |
本研究では、染色体配置における核膜のはたす役割の分子機構を明らかにする目的で、分裂酵母ゲノム中に見出される膜タンパク質の中から核膜タンパク質を同定し、その機能解析を行う。bouquet配置は、中心体(酵母では、SPB:Spindle Pole Body)近傍にテロメアがクラスターを形成する特徴的な染色体配置で、多くの生物種の減数分裂期にみられ、減数分裂の遂行に重要な役割を担っていると考えられている。これまでの研究から、我々は、bouquet配置は、減数分裂への進行に伴い、それまで、SPBに局在していたSad1タンパク質が、核膜上を移動しテロメアを捕獲し、SPBへ回収することによって形成されることを明らかにしてきた。Sad1タンパク質は、それ自体が膜貫通ドメインを有する膜たんぱく質で、その局在は、核膜に限定されるため、Sad1タンパク質によって効率よくテロメアが回収されるためには、テロメアが正しく核膜へ繋ぎとめられていることが重要となるが、その分子機構は、不明であった。 本研究では、昨年度までに、分裂酵母のbouquet形成に必須の役割を果たす、新規の核膜タンパク質を二つ同定し、それぞれBqt3,Bqt4と命名した(b__-ouq__-uet__-)。このうち、bqt4破壊株においてテロメアが核膜から乖離していることが判明した。このため、bqt4破壊株では、テロメアが、Sad1によって効率よく回収できず、bouquet形成不全をもたらしたと考えられた。こうした破壊株の解析、及び、遺伝子産物の細胞内局在やテロメアタンパク質との相互作用などの解析を踏まえ、Bqt4タンパク質が、染色体の核内配置において直接的役割を果たす、はじめて同定された核内膜タンパク質であることを明らかとし、以上の結果を論文にまとめ、Journal of Cell Biologyに投稿した(現在、査読中)。
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