2007 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
19570197
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
井出 宏之 Tohoku University, 名誉教授 (70022704)
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Keywords | マウス四肢 / 再生 / 骨形成タンパク質 / パターン形成 |
Research Abstract |
有尾両生類の四肢は成体においても完全な再生が可能だが、ヒトを含めた哺乳類では、指先の再生しか起こらない。この失われた再生能を取り戻すために、マウスの四肢で再生能に関係した性質がどの程度残っているかを明らかにするために、新生仔マウスの前腕部を切断、または掌部で切断し前腕部の骨の先端1/2を除去して、その空間にBMP7(骨形成タンパク質-7)等の細胞成長因子、四肢解離細胞の再構成塊等を加えて、形成される骨パターンを検討した。さらに骨形成に関係したタンパク質の生成を酵素抗体法で調べた。 1)BMPによって形成される骨パターンは基質となるゼラチンの種類によって変わるが、前腕部に相当する骨が基部側にでき、先端部には小さな骨が形成された。この際、骨形成の前に軟骨形成があることが、II型コラーゲンの検出で確認された。なお、基部先端部以外には、前後軸、背腹軸に関係するパターン形成は見られなかった。 2)四肢真皮を解離し、フィブリンゲルで再凝集させて上記の前腕部空間に移植すると、アリザリンレッド陽性の形態ができる。この構造はCalceinを取り込み、骨と類似の構造をとると考えられ、真皮内に骨細胞と類似の細胞に分化しうる能力を持った幹細胞的な細胞が存在することを示唆している。ただし、前段階としての軟骨形成は見られなかった。 これらの結果は、哺乳類の四肢にも再生能に関係する性質が残っていることを示唆しており、今後、ヒトの四肢を再生する際の手がかりとして大きな意義を持つものと思われる。
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Research Products
(3 results)