2007 Fiscal Year Annual Research Report
ゼブラフィッシュ幼生の淡水適応を担う表層イオン代謝細胞の細胞分化機構の解明
Project/Area Number |
19570201
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
星島 一幸 Tokyo Institute of Technology, バイオフロンティアセンター, バイオフロンティア研究教員 (70397032)
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Keywords | 環境 / 発現制御 / 発生・分化 / マイクロアレイ |
Research Abstract |
淡水魚が接する淡水環境はイオン濃度が極端に低いため,絶えず体内より様々なイオンが流出する傾向にある。淡水魚が体内イオンを高濃度に維持するためには淡水環境より積極的に各種イオンを吸収する必要がある。この能動的なイオン吸収機能は体表に発達する表層イオン代謝細胞が担うと考えられ,古くから魚類生理学の研究対象となってきたが,その細胞系譜の発生分化メカニズムは全く不明であった。しかしながら,我々はゼブラフィッシュ幼生を用いた研究からこの表層イオン代謝細胞が少なくとも2種類に分類されることを明らかにするとともに,この細胞系譜を制御するマスター遺伝子とも言える遺伝子,foxi3aを同定し,表層イオン代謝細胞の発生分化メカニズムを解明する足がかりを得た(Esaki et a1,2007)。 今年度は同定した表層イオン代謝細胞のマスター遺伝子の発現制御を基軸にその発生分化に関わる遺伝子ネットワークの解明を目指し,相当の結果を得ることができた。 delta遺伝子ファミリーの中でもdeltaCがfoxi3aと同様に嚢胚後期において表層イオン代謝細胞の前駆体と考えられる細胞に発現し,しかもその発現開始時期はfoxi3aのそれより2時間ほど先行している。これはDelata-Notchシグナル伝達経路による側方阻害により,foxi3a-positiveな表層イオン代謝細胞前駆体が分化していることを予想させる。実際,Delta-Notch系のシグナル伝達に異常を示すmind bomb変異体においてはfoxi3aの過剰発現,および表層イオン代謝細胞の過剰形成が起きていることを突き止めた。またゼブラフィッシュの遺伝子発現データベースより,表層イオン代謝細胞前駆体が発生する胚組織領域においてdeltaCおよびfoxi3aよりさらに先行して発現する遺伝子,foxilを見いだし,その機能解析を行った。
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Research Products
(4 results)