2009 Fiscal Year Annual Research Report
透明化ツメガエル割球を用いた細胞分化と調和した細胞周期調節の解明
Project/Area Number |
19570207
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Research Institution | Yamaguchi University |
Principal Investigator |
岩尾 康宏 Yamaguchi University, 大学院・医学系研究科, 教授 (10144916)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
上野 秀一 山口大学, 大学院・医学系研究科, 助教 (80363092)
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Keywords | 細胞分化 / 卵割 / 形態形成 / Caイオン |
Research Abstract |
ツメガエル透明化割球を用いて細胞周期の進行をリアルタイムで計測することにより、個々の割球細胞でMBT後にどのように各相が出現し、細胞周期が変更されているかを明らかにする。ゼリー層を除去したツメガエル受精卵を定温(20℃)で発生させ、第3卵割直前に、Ficollのクッション上のSteinberg氏溶液中に置き、定温(20℃)に保ちながら遠心した。適度な遠心力(600g、15min)では、卵は壊れずに、最上部に不透明な脂質層、その下に透明な細胞質層が分離し、さらに色素顆粒が卵黄顆粒の順に沈殿する。この条件では細胞膜は壊れずに、透明化細胞質中に核、ミトコンドリアや小胞体などの細胞内小器官が分布する。遠心した胚をCa2+-free培養液中で発生させると細胞質部分にある核が同調して分裂を続け、細胞質分裂が起きるので、ほぼ透明な細胞質のみをもつ単離割球を得た。この透明化卵の特徴を生かし、MBT期以降における細胞周期の伸長とG1期およびG2期の出現がどのような分子によって制御されているかを検討した。受精直後の卵にCaイオン濃度感受性蛍光指示薬(Ca-Greenデキストラン)などを注入後、透明化割球を作成し、その後の分裂細胞内でのCaイオン濃度分布の変化に対応した蛍光強度の分布の変化を共焦点レーザー顕微鏡と蛍光顕微鏡により高感度でリアルタイムに観察した。M期進行の調節に細胞内Caイオンシグナルが関わっている可能性が示唆された。また、初期胚細胞周期中のM期からS期への進行には細胞膜上の糖タンパク質が関わっていることを受精系を用いて明らかにした。この細胞内Ca濃度上昇を介したシステムは細胞分化期での細胞周期調節でも機能している可能性が示唆された。さらに、MMPとクエン酸合成酵素の初期胚細胞周期開始の役割を検討し、単離割球や透明化割球を用いて細胞周期・細胞分化と細胞内・外のCaイオンとの関係を検討した。これらにより、細胞外Caイオンが背側分化での形態形成と細胞分化に必要であることが示唆された。
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Research Products
(6 results)