2008 Fiscal Year Annual Research Report
出芽ホヤにおける生殖系列と体細胞系列幹細胞の厳密さと柔軟性
Project/Area Number |
19570208
|
Research Institution | Kochi University |
Principal Investigator |
川村 和夫 Kochi University, 教育研究部自然科学系, 教授 (30136361)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
砂長 毅 高知大学, 教育研究部自然科学系, 助教 (20448393)
|
Keywords | 群体ボヤ / 出芽 / ヘモブラスト / 生殖系列 / 体細胞系列 / 幹細胞 / Vasa / RNA干渉 |
Research Abstract |
出芽(群体)ホヤは,生殖細胞を取り除かれても,生殖系列特異的Vasaシグナルを復活し,生殖細胞を再生することができる。生殖系列力がどこからどのようにして補給されるのか,詳細は不明であった。ホヤ生殖系列において最もprimitiveな細胞は,生殖域と呼ぶ腔所に存在する生殖系列幹細胞(GSC)である。GSCはVasa^+, Nanos^+-である。他方,被嚢血管壁には体細胞系列の未分化細胞が存在し,それらはVasa^-,酷nos^+-であった。 今回、新たにPiwi, Myc, Rack1の解析が進み、somaとgermの棲み分けを明らかにすることができた。ミサキマメイタボヤRack1(PmRack1)とミダレキクイタボヤRack1(BpRack1)は,生殖系列幹細胞と脱分化上皮細胞で強く発現した。機能阻害実験の結果と重ねると、Rack1は幹細胞の恒常的増殖に関与していることが予想された。Bpmycは,somaとgermの両系列幹細胞で発現した。MycRNAiは、siglecell幹細胞が多能性上皮細胞に転換する際にMycが重要な役割を果たすことを示唆した。これらの結果より、群体ボヤの生殖系列は、体細胞系列から厳密に区別されていないかに思われた。しかしながら、Piwiの発現は生殖系列幹細胞特異的で、しかもVasaよりも広範囲の細胞で発現していた。Vasa^-,Piwi^+の生殖系列細胞が存在することはほぼ闇違いないものとなり、(1)生殖系列と体細胞系列は、生体内で厳密に仕切りされていること、(2)Vasa^-,Piwi^+細胞のみがVasa^+,Piwi^+になれることなどが明らかとなった。すなわち、ホヤ生殖系列前駆細胞に初めて分子的な基盤が与えられ、血体腔に存在するVasa^-,Piwi^+,Myc^+,Rack1^+,Nanos^+-の細胞がそれであるとの結論に至った。この発見により、生殖細胞を取り除かれても,ホヤ生殖系列が再生する仕組みを合理的に説明できるようになった。
|
Research Products
(6 results)