2007 Fiscal Year Annual Research Report
脊椎動物の脳の部域化決定における分子メカニズムの解析
Project/Area Number |
19570217
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Research Institution | National Institute of Advanced Industrial Science and Technology |
Principal Investigator |
道上 達男 National Institute of Advanced Industrial Science and Technology, 器官発生工学研究ラボ, 主任研究員 (10282724)
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Keywords | 発生・分化 / 脳・神経 / 再生医学 / マイクロアレイ |
Research Abstract |
本研究課題では、主にツメガエル胚を用い、脊椎動物の脳の部域がどのように規定されるか、その分子メカニズムの解明を目指して研究を行っている。本年度は、主に以下の点について解析を行い、成果を得た。 (1)間脳特異的な遺伝子Rx1(Rax)の発現調節機構の解明を目指し、同じく頭部領域特異的に発現するOtx2、神経領域特異的に発現するSox2との相互作用を調べた。その結果、Otx2とSox2は直接結合し、これらがRx1エンハンサー領域に結合することによって発現を正に調節していることを明らかにし、論文に公表した(Danno, et. al., 2008)。この結果は、間脳特異的に発現する遺伝子の新しい発現制御機構に迫るものであり、非常に重要であると考えられる。 (2)マイクロアルイを用いて同定した頭部領域特異的に発現する新規因子の候補約100のうち、約40遺伝子(重なりを含む)について空間的な発現パターンを詳細に解析した結果、中脳や後脳の限定された領域で発現するなど、興味深い発現パターンを示すものを得ることが出来た。うち、セメント腺(神経器官)特異的に発現するGalectinVIaについては論文に公表した(Michiue, et. al., 2007)。更に、他の関連因子についても解析の進んだものに関して現在論文投稿を行っている(Tanibe, et. al., submitted)。 (3)脳組織が誘導される側、すなわち前方神経外胚葉に備わる位置情報の有無についても解析を行っている。その結果、背側領域と腹側領域の境界面で終脳マーカーの発現が認められ、さらに興味深いのはBMP阻害による神経誘導の効率がこの境界を挟んで変化することを明らかにした。この知見は、この背腹境界になんらかの位置情報が存在することを示唆している。 以上のように、本年度は計画書記載の予定を大幅に超える成果を得ることが出来た。
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Research Products
(3 results)