2007 Fiscal Year Annual Research Report
マラリア原虫sera遺伝子ファミリーの系統進化発生の解明と免疫抗原としての作用
Project/Area Number |
19570218
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
有末 伸子 Osaka University, 微生物病研究所, 助教 (00242339)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
堀井 俊宏 大阪大学, 微生物病研究所, 教授 (80142305)
ニリアンM. Q.パラック パック 大阪大学, 微生物病研究所, 特任助教 (50423108)
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Keywords | マラリア / sera遺伝子 / 遺伝子ファミリー / 系統進化 / 転写解析 |
Research Abstract |
当該研究課題について、本年度は2種のヒトマラリア原虫種P. malariae, P. ovale8種のサルマラリア原虫種について、sera遺伝子ファミリーを構成する遺伝子の同定と配列決定を行った。 マラリア原虫のsera遺伝子は2つのhypothetical proteinn遺伝子(hpl, hp2)の間にsera遺伝子がタンデムに存在するファミリー構造であること、sera遺伝子は4つのグループに分類出来ることがゲノムプロジェクトが行われている8種のマラリア原虫種から明らかにされている[Arisue, et. al. J. Mol. Evol.(2007)65:82-91]。今回解析を行ったマラリア原虫種も同様のファミリー構造をしており、各1個のGroup I, II, III sera遺伝子がhp2遺伝子の上流に並び、Group III sera遺伝子とhplの間に複数個(3〜8個)のGroup IV SERA遺伝子が存在していた。Groupl, II, III sera遺伝子配列を用いてマラリア原虫種間の系統関係を解析したところ、ヒト三日熱マラリア原虫P. vivaxとサルマラリア原虫が単系統であること、ヒトマラリア原虫P. malariaeおよびP. ovaleの分岐位置が、げっ歯類マラリア原虫からなる単系統群とP. vivaxを含むサルマラリア原虫の単系統群の間であることが示唆された。P. vivaxを含むサルマラリア原虫間の系統関係についてはP. gonderiの分岐が最も早いことやP. knowlesi, P. coatoneyi, P. fragileの近縁性、P. inuiとP. hylobatiの近縁性、P. fieldi, P. simiovaleの近縁性が支持された。また、P. vivaxとP. cynomolgiの近縁性は系統樹解析からは支持されなかったが、sera遺伝子のレパートリーが同一でありことから、両者の遺伝的な距離は近いと考えられた。現在はGroup IV sera遺伝子の配列も含めてsera遺伝子間の進化学的な関係を解析すると共に、P. synomolgi, P. coatoneyi, P. knowlesiの3種について、sera遺伝子の転写解析を進めている。
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Research Products
(6 results)