2007 Fiscal Year Annual Research Report
細胞質因子による性決定-ミトコンドリアと母性因子-
Project/Area Number |
19570219
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
三浦 郁夫 Hiroshima University, 大学院・理学研究科, 准教授 (10173973)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大谷 浩己 広島大学, 大学院・理学研究科 (20106800)
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Keywords | 性決定 / 細胞質 / ミトコンドリア |
Research Abstract |
性の決定に卵の細胞質が関与する現象は無脊椎動物では知られてきたが、脊椎動物では報告例がなく、私たちがツチガエルを用いた実験で初めて確認した。細胞質因子としては、卵の核ゲノム、特に性染色体に由来する母性因子とミトコンドリア由来の因子の両方の関与が推測され、これまで候補因子を探索してきた。本年度はその細胞質因子の同定に向けて次の実験を行った。 1)性染色体に由来する母性因子 WW卵とZZ卵のmRNA間でサブトラクションを行い、WWで発現の高い遺伝子をこれまで18個同定していた。今回、さらに、リアルタイムPCRを用いて発現差を確認し、また、ZZで発現の高い遺伝子の探索も行った。その結果、WWで発現の高い遺伝子を12個、 ZZで発現の高い遺伝子を15個まで最終的に絞り込んだ。WWで発現の高い遺伝子には2種類のガレクチン(α、γ)、ZZで高い遺伝子としてガレクチン(δ)が見つかった。WWで発現の高い残りのうち3つは新規である。一方、ZZで高い遺伝子の中に、ほ乳類のX染色体に連鎖する3つの遺伝子(Ogt等)が見つかった。ツチガエルと哺乳類のX染色体間では、共通のシンテニーが存在することから、これらがツチガエルの性連鎖遺伝子である可能性が高い。 2)ミトコンドリアがコードする因子 これまでツチガエルのD-loop領域にデカペプチドをコードしうる領域を同定していた。今回、ZW型の集団を調べたところ、このD-loop領域に加え、12Sと16SRNAを含む領域と残りの領域は、実は2つの異なる集団間のキメラ構造を保持していることがわかった。rRNAは始原生殖細胞の分化因子でありことから、この組み換えられたD-loopからrRNAを含む領域がZW型の性決定に関与している可能性が考えられる。 3)機能解析に向けたツチガエル卵へのマイクロインジェクション法を確立した。 次年度は、母性因子の性連鎖の確認と機能解析、ミトコンドリア因子の同定を行う。
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Research Products
(6 results)