2008 Fiscal Year Annual Research Report
細胞質因子による性決定 -ミトコンドリアと母性因子-
Project/Area Number |
19570219
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
三浦 郁夫 Hiroshima University, 大学院・理学研究科, 准教授 (10173973)
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Keywords | 性決定 / 細胞質 / ミトコンドリア |
Research Abstract |
卵の細胞質因子が生物の性決定に深く関与する例は、無脊椎動物で広く知られている。私たちは脊椎動物のツチガエルにおいて、2つの異なる集団間(西日本と関東)で交雑を行った場合、卵の細胞質の由来によって子供の性比が大きく崩れ、本来の遺伝的な性が変更されることを見いだした。 そこで、卵に含まれる母性因子とミトコンドリアに注目して細胞質因子の同定と機能解析に取り組んだ。ミトコンドリアについては、ツチガエルを構成する4つの異なる集団のうち、先の西日本と関東でD-1oopの反復配列に明らかな違いが見られたことから、残り2つのXY型の集団とZW型の集団を加え全塩基配列を決定した。その結果、XY型は関東、ZW型は西日本と配列の高い相同性を示した。ただし、ZW型のチトクロームB遺伝子は他の3集団と比べ、著しく変異を蓄積していた。 D-1oop領域は、西日本、関東、XY型、ZW型の順に8kb,9kb,7kb,6kbと膨大な長さを有していた,反復単位については、XY型は関東と等しい10塩基から成り、ZW型の単位は8塩基で、西日本の単位12塩基のうちの8塩基を共有していた。以上の結果は、ZW型とXY型がそれぞれ西日本と関東に由来し、いずれも2kb近いD-1oop領域の短縮が生じたことを明らかにしたが、直接、性決定に関与する領域の同定には至らなかった。一方、性決定に関与する母性因子候補として、ガレクチンの2週類を同定した。その機能解析のため、まず、受精卵へのマイクロインジェクションによる核酸の導入法の確立に取り組んだ。本年度はメダカトランスポゾンTo12との共導入法を行った。その結果、30%近い遺伝子導入率を得、その半数で発現が確認された。目的遺伝子およびそのmRNAの導入実験は継続して行っている。
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Research Products
(9 results)