2008 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
19570224
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Research Institution | Nagahama Institute of Bio-Science and Technology |
Principal Investigator |
大島 一彦 Nagahama Institute of Bio-Science and Technology, バイオサイエンス学部, 准教授 (60282852)
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Keywords | PIPSL / 逆転写 / 加速進化 / LINE1 / 霊長類 / 人類集団 / 多型 |
Research Abstract |
研究代表者とKazazianのグループがヒトゲノムから見出し、HUGOの規約に基づき命名された遺伝子PIPSLは、異なる2種類の遺伝子(リン脂質キナーゼPIP5K1AとプロテアソームサブユニットS5a)のRNAがスプライシング過程で連結し、L1の逆転写反応による転移機構により転座した構造を持つ。両者は翻訳フレームを維持したまま融合し、誕生後およそ2000万年後の現在もORFを保持している。機能ドメインの混成と遺伝子重複が同時に生じる新規のメカニズムにより誕生した遺伝子の初の事例である。PIPSLは起源遺伝子と異なり精巣特異的発現を示し、細胞内局在性やキナーゼ活性が親遺伝子とは大きく変化している。またユビキチン化タンパク質との結合活性を示すことから、新たなユビキチン結合タンパク質であると考えられる。 昨年度は各種霊長類の相同遺伝子の解析と、日本人集団における多型解析を行った。本年度は、多型解析の対象を世界11地域の人類集団に拡大し、詳細な解析を行った。その結果、人類の出アフリカ後に広まったと推測される2つのハプロタイプの存在が明らかになった。これらはいずれも、PIP5K1A由来キナーゼドメインの基質結合部位付近の非常に近接した2つの座位に非同義置換SNPを有する。これらの変異は派生型のPIPSLにおける基質との結合能に影響を与えている可能性が考えられる。今後の機能解析により明らかになるものと思われる。
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