2008 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
19570230
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Research Institution | Okinawa University |
Principal Investigator |
松本 晶子 Okinawa University, 人文学部, 准教授 (80369206)
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Keywords | 生物人類学 / 霊長類学 / ヒヒ / チンパンジー / 発情同期 / 配偶者選択 / 適応度 |
Research Abstract |
本研究の目的は、通年繁殖するチンパンジーとヒヒにおけるメスの時間的な分布様式を種内・種間で比較し、通年繁殖する種に見られる配偶様式と社会システムから人類の社会進化を検討することである。メスの時間的な分布様式には、発情周期のなかで発情メスが多い日が偏っているかどうかという点と、発情が偏っていた場合に適応度があがるのかという点の2つを明らかにしなければならない。平成20年度は、次の研究に取り組んだ。 1. タンザニア・ゴンベ地域に生息する野生ヒヒの人口学的データからメスの発情状態を抽出し、分析用シートへの入力をおこなった。また、入力が終了した群れのデータをもとに、新しい分析方法の開発に取り組んだ。また、8〜9月には野外調査をおこない、1群について糞資料の収集をおこなった。この糞資料から父子判定をおこない、メスの発情の偏りとどのようなオスが子どもを残したかについて検討する予定である。 2. タンザニア・マハレ国立公園に生息する野生チンパンジーについては、これまでにメスがたがいに発情をずらせていたことを報告した。発情または排卵期間が避けあった年に、メスの出産率が高まるかどうかを野外データから明らかにし、メスの発情を避けあう戦略がどのような繁殖上の利益をもたらしているのかをモデルの作成をおこなって考察した。この結果は現在、学術雑誌に投稿中である。
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