2009 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
19570230
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Research Institution | Okinawa University |
Principal Investigator |
松本 晶子 Okinawa University, 人文学部, 教授 (80369206)
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Keywords | 生物人類学 / 霊長類学 / ヒヒ / チンパンジー / 発情同期 / 配偶者選択 |
Research Abstract |
本研究の目的は、通年繁殖するチンパンジーとヒヒにおけるメスの時間的な分布様式を種内・種間で比較し、通年繁殖する種に見られる配偶様式と社会システムから人類の社会進化を検討することである。メスの時間的な分布様式には、発情周期のなかで発情メスが多い日が偏っているかどうかという点と,発情が偏っていた場合に適応度があがるのかという点の2つを明らかにしなければならない。平成21年度は、次の研究に取り組んだ。 1.タンザニア・マハレ国立公園に生息する野生チンパンジーについては,これまでにメスがたがいに発情をずらせていたことを報告した.発情をずらせてえられる適応度としては、交尾頻度を増加して(1)出産率を高める、(2)父性を撹乱する、(3)精子競争を引き起こす、という仮説が考えられる。本研究では、メスの交尾頻度、出産数、オスの近接を要因として、実証データをもとにモデルを作成して考察した.この結果は学術雑誌に投稿している. 2.タンザニア・ゴンベ国立公園に生息する野生ヒヒについて、野外調査を実施した。前年に引き続き、2009年夏までの発情データの記録資料を収集し、持ち帰った資料の入力と分析をおこなった。また、野外調査で収集した遺伝的資料から父子判定をおこなった。現在までに12頭の個体の父親が明らかになっており、母親の妊娠年の発情同期の状態、父親の社会順位と合わせた分析をおこなった。本研究結果は、現在学術雑誌に投稿準備中である。
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