2008 Fiscal Year Annual Research Report
連続光方式近赤外分光法における脳酸素動態の生理的多型性を考慮した標準化指標の確立
Project/Area Number |
19570232
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
新岡 正 Hokkaido University, 大学院・地球環境科学研究院, 准教授 (20123953)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
田中 豪一 札幌医科大学, 医療人育成センター, 准教授 (10167497)
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Keywords | 生理的多型 / 生理学 / 生理人類学 / 脳機能評価 / 生物・生体工学 / 脳酸素動態 / 標準化指標 / 近赤外分光法 |
Research Abstract |
本研究は、ヒトの高次脳機能を生理的多型性の面から解明するための基礎を築くために、多チャンネル化が容易な連続光方式近赤外分光法を用いた脳酸素動態計測において、チャンネル間、実験間および被験者間の比較を可能とする標準化指標を見出すことを目的とした。本年度においては、18名の非喫煙者を対象とした認知課題遂行中の、脳内酸素化ヘモグロビン濃度、脱酸素化ヘモグロビン濃度、および総ヘモグロビン濃度について、絶対値計測が可能な時間分解分光法によって得られたデータを詳細に検討した。その結果、酸素化ヘモグロビン濃度および脱酸素化ヘモグロビン濃度について、安静閉眼値は、標準偏差/平均値が0.11程度であることから、個体差は小さいといえることがわかり、また、再現性が非常に高いこともわかった。一方で、課題遂行中の増減については、例えば酸素化ヘモグロビン濃度については、約-2.7μM〜約+4.0μMと、個体差が非常に大きいことが明らかとなった。これらの知見は、連続光方式を用いた我々の先行研究で得られた結果と矛盾しないことがわかり、連続光方式を用いて得られた結果から導かれる結論には妥当性があるという考えを支持する重要な資料となった。更に、これらの結果から、連続光方式近赤外分光法を用いた計測において、脳酸素動態数値計算モデルを構築すること、および標準化指標を見いだすことは極めて妥当であると考えられた。従って、数値計算モデルの構築のための、安定的指標としては、我々が提唱した酸素化ヘモグロビン濃度を脱酸素化ヘモグロビン濃度で除した変数が有用であることが確立できたと考えられた。
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Research Products
(3 results)