2009 Fiscal Year Annual Research Report
自家和合性普通ソバ系統を母本とした種間雑種の育成と遺伝子解析
Project/Area Number |
19580003
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Research Institution | Shinshu University |
Principal Investigator |
南 峰夫 Shinshu University, 農学研究科, 教授 (30174098)
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Keywords | ソバ属 / 種間雑種 / 脱粒性 / STSマーカー / 自家和合性 |
Research Abstract |
本研究は,自家不和合性を持つため育種における選抜効率が悪い普通ソバ(F.esculentum)に,自家和合性の近縁野生種(F.homotropicum)および栽培種のダッタンソバ(F.tataricum)から自家和合性を導入した自家和合性普通ソバ系統を利用して,選抜効率の向上と,種間交配による有用形質の導入を組み合わせることにより,普通ソバの欠点を克服した画期的な新品種の開発を可能にする有用系統を育成することを目的としている.本年度は,これまでに胚珠培養により作出したダッタンソパと普通ソバの種間雑種のF2,F3を栽培し,諸形質の分離を調査した.同時に普通ソバを母本として戻し交配を行い,BC1種子を獲得した.F1では脱粒性が発現したので,F2における脱粒性の発現を調査したところ,非脱粒性個体と脱粒性個体に分離した.F3においては非脱粒性の系統が得られたことから,(非)脱粒性は少数の主動遺伝子により支配されていると考えられた.ソバ属の脱粒性はSbt1,Sbt2,Sbt3の3つの遺伝子座により支配されているとされてきた.普通ソバは非脱粒性遺伝子sht1をホモに持つことで非脱粒性を発現しているため,ダッタンソバはsht2,またはsht3をホモに持つと考えられた.そこでsht1と連鎖するSTSマーカーを用いて脱粒性遺伝子の同定を行った.その結果,ダッタンソバはSHT1を持たないことが確認された.したがって,ダッタンソバと普通ソバの種間雑種で発現した脱粒性は,これまでの説では説明できないことが明らかになった.ソバ属における脱粒性および自家不和合性,異型花柱性の遺伝様式を統一的に把握するために,普通ソバとダッタンソバ,F.homptropicum,および宿根ソバ(F.cymosum)との種間雑種の間の交配を行い,3元,あるいは4元雑種の作出を行った.作出したこれらの雑種における表現型とDNAマーカーによる遺伝子の解析を22年度に行う予定である.
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Research Products
(1 results)