2009 Fiscal Year Annual Research Report
食用きのこ類の胞子欠損性変異に関わる遺伝子の同定とその育種的利用に関する研究
Project/Area Number |
19580004
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Research Institution | Tottori University |
Principal Investigator |
松本 晃幸 Tottori University, 農学部, 教授 (60132825)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
村上 重幸 財団法人日本きのこセンター, 菌蕈研究所, 上席主任研究員 (00072794)
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Keywords | 食用担子菌類 / 胞子欠損性変異 / 連鎖解析 / AFLPマーカー / 分子育種 / ウスヒラタケ |
Research Abstract |
食用きのこ類の生産過程では、子実体から飛散する大量の胞子が生産現場およびその周辺において人の健康や環境に極めて深刻な悪影響を及ぼし問題となっている。本課題は、この問題の有効な解決策となる無胞子性きのこの育種に向けて、優秀な食用栽培きのこのひとつ、ウスヒラタケ(Pleurptis pulmonarius)の胞子欠損性変異体を材料として、当該変異に関わる遺伝子を解明するとともに、変異と栽培形質との関係に関する遺伝・育種学的情報の取得を目的とした。本年度は、(1)変異保有と栽培形質との関係を検討するため、初年度、連鎖地図作成のために調製した分離集団のF1株と分離親株との戻し交配株を作出し,それらの栽培試験を行った。その結果、変異形質をホモで持つ場合,野生型とのヘテロである場合,変異形質を全くもたない場合で,接種後の培地全体への菌糸蔓延に要する日数に差はなく,子実体収量についても遺伝型に関係しない傾向が得られた。また,変異型ホモ株でも子実体の形態的形質の優れたものが得られる可能性が示された。以上のことより、本課題で材料としている自然突然変異体はウスヒラタケの無胞子性品種育成の素材として極めて有用であると考えられる。(2)前年度クローニングにした変異領域に対応する約67kbの塩基配列を変異型および野生型両ゲノムについて決定し、当該領域の塩基配列を比較した。その結果、当該領域に両ゲノム間で多くの多型が存在し、その中には他生物において胞子形成に関連する遺伝子として報告されているORF領域が存在していることを突き止めた。今後、これらORFの当該変異との関係を形質転換による相補試験および発現解析により明らかにしていく予定である。
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Research Products
(4 results)