2008 Fiscal Year Annual Research Report
米の貯蔵性改良と米油利用促進のためのホスホリパーゼD欠失性遺伝子の同定と特性解明
Project/Area Number |
19580008
|
Research Institution | National Agricultural Research Organization |
Principal Investigator |
鈴木 保宏 National Agricultural Research Organization, 作物研究所米品質研究チーム, チーム長 (40370548)
|
Keywords | ホスホリパーゼD / イネ / 貯蔵安定性 / 欠失性遺伝子 / 連鎖解析 |
Research Abstract |
玄米にホスホリパーゼD(PLD)の欠失性を導入することにより、品質劣化が抑制されて、貯蔵性が向上した米を作出することを最終目標とする。そのために、PLD欠失性を簡易に実用品種へ導入・選抜するための技術として、PLD欠失性原因遺伝子のマッピングを行う。具体的には、PLD欠失系統とPLDを有する品種とのF2株を栽培し、PLD欠失性とSSRマーカー等との連鎖解析を行う。また、PLD欠失性遺伝子の構造を解析し、その特徴を利用したDNAマーカーを用いた簡易な選抜方法を開発する。 平成20年度のPLD欠失性のとSSRマーカーとの連鎖解析から、PLD欠失性は第1染色体のRM3453と4.5%の組み換え価で、またRM6331と14.8%の組み換え価で、それぞれ連鎖することが明らかになった。この結果から、第1染色体に登録されている「AB001920」が、種子PLD遺伝子である可能性が高いことが明らかになった。そこで平成21年度は、「AB001920」が本当にPLD欠失性の原因となっているかを明らかにするために、PLD欠失系統「03-s108」、およびこの系統の原系統である「ND0052」におけるAB001920の塩基配列を解析した。すると、「ND0052」の第3エクソンのトリプロファンをコードするTGGが、「03-s108」においては終止コドンTGAとなる変異、一塩基置換SNPが生じていることが明らかになった。この結果は、「03-s108」では見出されたSNPにより成熟型のPLDタンパク質が欠失していると考えられる。次年度は、見出されたSNPを利用したPLD欠失性の簡易な選抜方法を開発する。
|