2007 Fiscal Year Annual Research Report
温度感応により引き起こされるイネ雄性不稔の分子基盤
Project/Area Number |
19580009
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Research Institution | National Agricultural Research Organization |
Principal Investigator |
川岸 万紀子 National Agricultural Research Organization, 作物研究所・稲遺伝子技術研究チーム, 主任研究員 (50355707)
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Keywords | 不稔 / ストレス応答 / イネ / 遺伝子発現制御 / 花粉 |
Research Abstract |
小胞子期のイネに高温処理を施すと不稔が誘導される。その制御機構を明らかにする目的で、まず、高温処理後に常温で開花期まで栽培したイネの葯と花粉の形態を観察した。無処理と高温処理を比較して、葯の形態や花粉の数、花粉の生存率などには大きな違いがみられなかったが、柱頭上に付着する花粉の数が高温処理により著しく減少することがわかった。また、処理後の柱頭に無処理の花粉をかけると、花粉の付着や花粉管の伸長に異常が認められないことから、高温により誘発される不稔が雄性不稔であることが確認された。さらに、マイクロアレイ解析により同定された、高温処理2日後に発現量が著しく低下する一群の遺伝子について、高温に対する応答性を詳しく解析したところ、処理後1日以内にmRNAレベルが低下することがわかった。遺伝子発現の変動と稔実性とがどのような相関関係をもつのかを明らかにするため、この一群の遺伝子のRNAiによる発現抑制解析を進めている。今年度はこのうち3つの遺伝子について発現抑制系統を作出し、現在その表現型の解析を行っている。 温度感受性雄性不稔系統PL12に関しては、出穂前20日頃から開花期に至るまでの期間、許容温度と制限温度とで栽培した変異体より葯の組織切片を作製し比較観察した。これまでのところ、小胞子の時期に形態的な変化が見られる個体が多いことがわかった。今後、より詳細な観察を行って形態変化の現れる時期を特定していく。また、原因遺伝子を単離するため、マッピングを進めている。PL12とインド型品種Dularを交配して得られたF1植物を育成し、多数のF2種子を得た。今年度は、そのうち1000粒のF2種子を播種し、ラフマッピングを行った。今後、原因遺伝子の近傍領域での組換え個体の表現型を調べて候補領域の確認を行うとともに、F2集団を大きく展開して、候補領域を狭めていく予定である。
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Research Products
(1 results)