2008 Fiscal Year Annual Research Report
高・低温下で登熟した水稲玄米における粒厚・粒重および品質低下要因の形態学的解明
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19580011
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Research Institution | Ibaraki University |
Principal Investigator |
新田 洋司 Ibaraki University, 農学部, 准教授 (60228252)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
松田 智明 茨城大学, 副学長 (50007788)
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Keywords | 水稲 / 玄米 / 登熟 / 品質 / 胚乳 |
Research Abstract |
本年度は2編の雑誌論文発表、5編の学会発表を行った。 まず、茨城県産コシヒカリ玄米における粒厚・粒重と食味関連形質との関係を検討した. その結果, 2005年度産米ではそれらの間に相関関係は認められなかったことから、粒厚または粒重が大きいと食味関連形質を向上させることが示唆された。なお、これらの関係は、栽培年次・条件等によって変動することが考えられ、次年度以降も継続的な検討が必要である。 胚乳が乾燥にともなってハゼることで白色不透明化(乳白色化)する精(もち)品種でも、完全米が認められる。完全米の胚乳中心部と周辺部では、収穫期とその後の乾燥でデンプン粒の収縮方向が異なることが認められた。また、アミロプラストの増殖異常毛認められたが、腹白米ではそれが顕著であることが明らかとなった。 また、高温および寡照条件下で発生した乳白粒では、大型のアミロプラストの間に小型のアミロプラストの増殖が認められた。とくに、高温下ではデンプン粒の収縮によりデンプン粒表面のしわや表面が凹んだアミロプラストや、アミロプラストの分解像や特殊な増殖様式が認められた。一方、異なる登熟気温下で栽培されたコシヒカリの不完全登熟粒の発生と微細構造を検討した結果、乳白粒の発生は出穂後20日間の気温の影響を受け、とくに高温下ではデンプン粒が収縮してアミロプラスト間の隙間が発生しやすいことが明らかとなった。 良食味評価の高い北陸200号は、コシヒカリ等の品種よりも炊飯開始後の糊化開始温度が低く、米粒の内部に言で海綿状構造が形成されることが明らかになった。 一方、シンクとソースの大きさや強度が登熟におよぼす影響については、2次枝梗穎果は籾殻重・玄米重が開花日の早・遅の影響を強く受けることが、また1次枝梗穎果で毛ソースが制限されることで籾殻重・玄米重が開花の早・遅の影響を強く受けることが明らかになった。
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