2009 Fiscal Year Annual Research Report
高・低温下で登熟した水稲玄米における粒厚・粒重および品質低下要因の形態学的解明
Project/Area Number |
19580011
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Research Institution | Ibaraki University |
Principal Investigator |
新田 洋司 Ibaraki University, 農学部, 教授 (60228252)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
松田 智明 茨城大学, 理事・副学長(学術) (50007788)
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Keywords | 水稲 / 玄米 / 登熟 / 品質 / 胚乳 |
Research Abstract |
本年度は1編の雑誌論文発表、7編の学会発表を行った。 まず、良食味と判断された茨城県奥久慈産コシヒカリを用いて、精米のタンパク質含有率が玄米の粒厚と負の相関関係にあることを、また粒厚の厚い玄米の炊飯米では表面の明部の面積割合ならびに表面・内部の微細構造に差異がないことを明らかにした。 高温登熟下における玄米の微細構造変化について、良食味米品種つや姫を用いて検討した。その結果、炊飯米の表面・表層の微細骨格構造に移植日の違いによる顕著な差異が認められないことを、高温登熟下では炊飯米表面で糊の十分な発達は認められず、表層の海綿状構造の発達が十分ではないことを明らかにした。また、表面で認められた糊の膜状構造が良好な光沢の一因であると考えられた。 つぎに、世界と日本における米生産状況および作付けの多い品種の栽培面積の推移を概観した。そして、茨城県産コシヒカリを用いて、粒重と食味関連形質との間に有意な相関関係が認められないことを明らかにした。また、走査電子顕微鏡観察により良食味米および低食味米には明確な構造的特徴があることを明示した。 一方、近年需要が増えている包装米飯の微細構造を走査電子顕微鏡で観察した。その結果、電子レンジ調理前でも通常炊飯米に類似した微細構造を有することを、また調理後は米粒内で糊化がより進んでいることを明らかにした。 シンクおよびソースの大きさや強度を変化させる実験の結果、玄米よりも籾殻がシンクとして優先されることを、穎果の開花は同化産物供給量が減少すると遅延することを、また、1粒当たりの同化産物供給量を増加させても開花の早・遅に影響をおよぼさないことを明確にした。 糯(もち)米において登熟期に葉身切除処理した胚乳では、多糖類やデンプン粒表面の皺およびデンプン粒中央部の孔が高頻度で認められ、白色不透明化の一因であることが明らかになった。
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