2008 Fiscal Year Annual Research Report
山間山地地域の作物生産における現地栽培調査25年後の変容解析と地力維持対策
Project/Area Number |
19580013
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Research Institution | Gifu University |
Principal Investigator |
堀内 孝次 Gifu University, 応用生物科学部, 教授 (40026547)
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Keywords | 山間山地 / 有機肥料 / 化学肥料 / 微生物活性 / 緑肥 / 野草 / 生ゴミ堆肥 / 自給的農業 |
Research Abstract |
1.現地栽培調査結果から最近25年間にみられる山間山地地域の栽培形態の特徴は、生産者の高齢化と後継者不足が深化しているため、耕作地放棄と零細な自給的農業が増加している。一方、この問題対策としての農業法人化組織の全体的増加傾向と受託耕作も含め大規模機械化農業の拡大が一部地域でみられる。このように農業経営が社会情勢とともに変容する中、作物生産の基本である持続的な地力維持方式の地域的特徴は、次の2点に大別できる。その一つは、地域共通性として堆肥やナタネ油粕など各種有機質肥料を主体的に投入しながら、化学肥料を減量して補完的に併用する方式が地域全体にみられる。他方は、"緑肥、野草、わら"などの地力維持素材の利用頻度が地域的に異なっており、地域特殊性が存在している。即ち、比較的平坦で経営耕地面積規模の大きい北海道ではヒマワリ、エンバクなどの緑肥が多く使用されるのに対し、地形的に傾斜度の大きい小規模耕地面積が多く分布する中部,近畿,四国,中国及び沖縄ではカヤ、ススキなどの野草利用が多く利用される。これらの地域では地形的自然生態に準拠した地力維持が現在も行われている。 2.有機性廃棄物由来の堆肥素材と造成微生物素材との混用による肥効評価(ポット実験)の結果、(1)有機物を土壌に施用することで土壌pHが7.0付近まで上昇し、硝酸態窒素量と有効態リン酸量も増加した。C/N比はナタネ油粕を加えた場合に堆積初期から低い値を示し、肥料効果が高まる評価となった。(2)新たに開発造成した微生物資材の施用は、投入有機物(生ゴミ堆肥素材)の施用効果を高め、評価作物(コマツナ)の乾物重を増加させた。この結果、近年、地力維持資材としてこれら山間山地地域にも導入されつつある多様な有機性廃棄物(生ゴミ堆肥や汚泥堆肥など)の土壌還元は環境保全に配慮した地力維持の有効な手段であるといえる。
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Research Products
(1 results)