2008 Fiscal Year Annual Research Report
トウジンビエにおける雑草型超遺伝子の進化・多様化および維持機構
Project/Area Number |
19580014
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
三浦 励一 Kyoto University, 農学研究科, 講師 (60229648)
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Keywords | 雑草 / 雑穀 / トウジンビエ / 遺伝学 / 超遺伝子 / 作物-雑草複合 / アフリカ |
Research Abstract |
アフリカで広く栽培されている雑穀の一種トウジンビエでは,雑草型形質をもつ個体が畑の中に常に混生していることが古くから知られていた。これまでの研究で,作物型と雑草型の差異は1遺伝子座によってきまっていること,料型は遺伝的平衡多型の状態にあり,作物型がホモ,雑草型がヘテロであることがわかっており,当該遺伝子は実際には複数の遺伝子が緊密に連鎖した超遺伝子であることが示唆されている。本研究においてはF2相当分離集団のAFLPから得られた連鎖バンドをもとにマーカーを作成し,高密度連鎖地図を作製し,当該遺伝子をクローニングすることを目標としていたが,残念ながら現時点では成功に至っていない。得られた連鎖バンドがすべて高度反復配列の一部で,STS化や染色体歩行がきわめて困難であったことがその理由である。この反復配列をプローブとして染色体プレパラートに対しFISHを行ったところ,動原体近傍に強いシグナルが観察された。このことから,超遺伝子を構成する遺伝子群は動原体近傍にあるために組み換えが抑制されて超遺伝子としてふるまっているが,物理距離としては広い範囲に散在している可能性もあることを示唆された。 西アフリカ・マリ共和国のさまざまな緯度からとられた集団を比較栽培したところ,サヘル帯由来の各集団では作物型・雑草型間に脱粒性だけでなく著しい形態的差異がみられたが,スーダンサバナ帯由来の各集団では脱粒性以外に大きな差が認められなかった。トウジンビエの起源がサヘル帯にあると推定されていることを考慮すると,雑草型超遺伝子はまずサヘル帯で成立し,スーダンサバナ帯に伝播する仮定で脱粒性遺伝子以外の要素を失っていったことが考えられた。
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