2009 Fiscal Year Annual Research Report
塩条件下における作物根の細胞死制御と耐塩性との関係
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19580015
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
平井 儀彦 Okayama University, 大学院・自然科学研究科, 准教授 (80263622)
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Keywords | 耐塩性 / イネ / アポプラスト経路 / Na吸収速度 |
Research Abstract |
イネの耐塩性は根のNa吸収と密接に関係しており,耐塩性の向上にはNaの吸収機構の解明が重要である.これまでに,イネのNa吸収速度は塩処理後直後に高く,その後低下することが認めた.そこで,耐塩性の異なる品種を用い,塩条件下でのNa吸収速度の変化に関わる根の要因について検討した.イネ6品種を水耕栽培し,5.5葉期に塩処理を開始し,Na含有率の経時変化を調べたところ,茎葉部Na含有率は品種間で異なり,Na吸収速度はいずれの品種でも塩処理期間が長くなると低下したが,その程度に品種間差は認められなかった.塩処理後の根の形態変化を調べるため,塩処理15日目に根の直径ごとの根長を調べたところ,Mangasaで0.17mm以下の根長が低下していたが,Na吸収速度の低下との間に一定の関係は認められなかった。次に,塩処理後の根におけるアポプラスト経路の変化をアポプラスティックトレーサーを用いて調べたところ,各品種ともに塩処理6日以降にはアポプラスティックトレーサーの吸収が低下したことから,アポプラスト経路を通じたNa吸収抑制能が高まったと考えられた.さらに,根からのNa排出の品種間差異を調べたところ,各品種ともに塩処理6日後までは根からのNa排出は認められなかったが,処理12日後には3品種ともに根でNa排出が起こった.しかし,品種間ではNa排出の程度に明確な差は認められなかった.以上のことから,塩処理直後にはNa吸収速度は高いが,塩処理期間が長くなるとアポプラスト経路を通じたNaの吸収抑制能と根からのNaの排出能が高まり,Na吸収速度が低下すると考えられた.
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