2008 Fiscal Year Annual Research Report
大気CO2濃度の増加が水田雑草と水稲の競合に及ぼす影響の解明
Project/Area Number |
19580019
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Research Institution | National Institute for Agro-Environmental Sciences |
Principal Investigator |
酒井 英光 National Institute for Agro-Environmental Sciences, 大気環境研究領域, 主任研究員 (00354051)
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Keywords | 水田雑草 / 気候変動 / 温暖化 / 生長応答 / CO2 |
Research Abstract |
本研究は、水田雑草の生長やイネとの資源の競合に及ぼすCO_2濃度増加の影響を明らかにし、大気CO_2濃度上昇時のイネの生産量の変動予測に資することを目的とする。本年度は、CO_2濃度と温度の上昇が水田雑草の生長に及ぼす影響を調査し、高CO_2濃度と高温の相互作用があるか検証を行うことを目的に研究を行った。 野外型半閉鎖系人工気象室(高さ2.61m、幅4m、奥行き3.05m)4室を用い、外気(380ppmv)、高濃度(680ppmv)の2水準のCO_2濃度および標準(29/21℃;昼/夜)、高温(34/26℃)の2水準の温度条件において水田雑草を約80日間ポット栽培した。水田雑草としてタイヌビエ(イネ科)、コナギ(広葉)、イヌホタルイ(カヤツリグサ科)を供試した。 タイヌビエにおいては、最終地上部バイオマスは温度上昇により有意に34%増加したが、CO_2濃度増加によっては有意には増加なかった。しかし、高温区においてはCO_2濃度増加により17%増加し、高CO_2と高温の有意な相互作用がみられた。 コナギにおいては、最終地上部バイオマスは温度上昇およびCO_2濃度増加により有意に増加し、その増加率はそれぞれ51%、13%であった。しかし、両者の相互作用はみられなかった。 イヌホタルイにおいては、最終地上部バイオマスはCO_2濃度増加により有意に増加し、その増加率は3種中で最大の81%であった。温度増加によりイヌホタルイの最終地上部バイオマスは有意に減少したが、穂重(種子生産量)は逆に41%増加していた。 これらの結果より、水田雑草の種によってCO_2濃度・温度の上昇に対する生長応答が大きく異なること、バイオマス生産に対する高CO_2濃度・高温の相互作用が存在する雑草種があることなどが示唆された。
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Research Products
(3 results)