2009 Fiscal Year Annual Research Report
大気CO2濃度の増加が水田雑草と水稲の競合に及ぼす影響の解明
Project/Area Number |
19580019
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Research Institution | National Institute for Agro-Environmental Sciences |
Principal Investigator |
酒井 英光 National Institute for Agro-Environmental Sciences, 大気環境研究領域, 主任研究員 (00354051)
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Keywords | 水田雑草 / 気候変動 / 温暖化 / 生長応答 / CO2 |
Research Abstract |
本研究は、水田雑草の生長やイネとの資源の競合に及ぼすCO_2濃度増加の影響を明らかにし、大気CO_2濃度上昇時のイネの生産量の変動予測に資することを目的とする。本年度は、高CO_2条件下でイネとの競合実験を行い、高CO_2濃度によるイネの増収率に及ぼす影響を定量的に明らかにすることを目的に研究を行った。 試験は、農業環境技術研究所内にある野外型半閉鎖系人工気象室(高さ2.61m、幅4m、奥行き3.05m)2室を用いて行った。2水準のCO_2濃度条件(外気レベル(380ppmv)および外気+300ppmv)において、水稲および水田雑草を成熟期までポットにおいて栽培した。水田雑草の主要な構成種であるイヌホタルイ(カヤツリグサ科)およびコナギ(広葉雑草)の2種を試験に供試した。両水田雑草について、水稲1個体に対して5、10、15個体の3水準の密度でポットに移植し、水稲と同一のポット内で競合させた。 成熟期の水稲のバイオマスは、コナギおよびイヌホタルイとの競合によりそれぞれ22、20%低下した。また、高CO_2濃度によりその低下率は大きい傾向がみられた。水稲の精籾収量、精玄米収量ともに、両水田雑草との競合により27%低下した。コナギとの競合では外気CO_2濃度および高CO_2濃度下でそれぞれ22、32%の減収、イヌホタルイとの競合ではそれぞれ24、31%の減収がみられ、高CO_2濃度により水稲の減収率が高まった。また、雑草密度が高いほど水稲の減収率は高まった。 以上の結果から、大気CO_2濃度の上昇により水稲と水田雑草の競合が激しくなり、水稲の減収率が高まることが示唆された。そして、水田雑草の密度が大きいほど、水稲の減収率は高まることが示唆された。このことは、将来環境においては、より確実な雑草管理が必要になることを意味している。
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Research Products
(3 results)