2008 Fiscal Year Annual Research Report
忌地現象における根圏微生物相解析と植物生育改善法の確立
Project/Area Number |
19580028
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Research Institution | Gifu University |
Principal Investigator |
松原 陽一 Gifu University, 応用生物科学部, 准教授 (40301212)
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Keywords | 忌地現象 / 菌根菌 / アスパラガス / 耐病性 / アレロパシー / 抗酸化機能 |
Research Abstract |
園芸植物生産における忌地現象について、国内外で問題となるアスパラガス忌地現象を事例とし有用微生物であるAMF(arbuscular菌根菌)による植物生育改善法の検討等を行った。 忌地現象における化学的誘導因子の対策として、数種忌地圃場土(長野県より採取)をバイオアッセイし、アレロパシー物質含有を確認後にAMFによる生育改善を検討した結果、全ての忌地圃場土において生長促進効果が確認された。一方、アレロケミカルとして推測されるフェルル酸、カフェ酸処理土壌でAMF接種したアスパラガスを育苗した結果、無接種区では特に高次の萌芽抑制がアレロケミカル添加区でみられ、AMF区ではその障害が軽減されていた。これらより、アレロパシー障害に対するAMFによる生育改善が実践的手法として有効であることが示唆された。 次に、生物的誘導因子に関連して、これまでのフザリウム病の他に紫紋羽病に対するAMFによる耐病性検定を行った結果、AMFによる耐病性発現が確認された。一方、AMF共生による抗酸化酵素[スーパーオキシドジスムターゼ(SOD),アスコルビン酸ペルオキシダーゼ(APX)]活性、DPPHラジカル消去能、抗酸化物質(アスコルビン酸,ポリフェノール)含量変動を解析した結果、全ての項目においてAMF共生により増大する場合がみられ、特に抗酸化酵素のSOD活性増大が相対的に大きかった。これらのことから、AMFによる耐病性誘導は、同時に複数の病害に対して可能であることが示唆され、抗酸化機能はAMFによる耐病性と密接な関連があると考えられた。 以上のことから、忌地現象における化学的・生物的誘導因子への対策として、AMFによる総合的植物生育改善が有効な手法となることが実証された。
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