2008 Fiscal Year Annual Research Report
伝統野菜ワケギの食感形成に関与する遺伝子の同定と葉ネギ育種への応用
Project/Area Number |
19580032
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Research Institution | Yamaguchi University |
Principal Investigator |
執行 正義 Yamaguchi University, 農学部, 准教授 (40314827)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山内 直樹 山口大学, 農学部, 教授 (60166577)
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Keywords | 園芸学 / 育種学 / 遺伝学 / 農林水産物 / 野菜 / 染色体工学 / ネギ属野菜 / 食感形成 |
Research Abstract |
本年度は以下の三点についてワケギ,ネギ,シャロットおよびシャロットの染色体(1A-8A)を一本ずつ添加したネギ系統(添加系統)を用いて実験および検討を行った. 1.ワケギ特有成分の生産に関与する遺伝子の染色体マッピング ペクチンメチルエステラーゼ(PE)と同様にワケギの食感形成に係わるペクチンの代謝酵素であるポリガラクツロナーゼ(PG)の3種類のホモログに対してPCRプライマーを合成して,シャロットとネギおよび添加系統のゲノムDNAを用いた多型解析を行った.その結果,一種類のPGが4A染色体に座乗することが明らかとなった. 2.ワケギ由来特有成分を有する葉ネギ品種開発への重複異種染色体添加系統シリーズの利用 ペクチンの代謝関連遺伝子が座乗する染色体を有する系統であるFF+4Aの染色体倍加により添加染色体を二本もつ四倍性二染色体添加系統(FFFF+4A4A)が作出された.これらの個体の自殖およびネギを戻し交配することでワケギに近いネギの作出を試みたところ,FFFF+4A4Aの自殖から2個体,FFFF+4A4A(♀)×ネギ(♂)の交配から2個体の後代の作出に成功した. 3.ワケギ由来特有成分形質を導入した葉ネギ系統の開発 ワケギ複二倍体(ゲノム構成AAF'F')にネギ(FF)を戻し交雑することで作出された異質三倍体(AF'F)にネギを二回戻し交雑することで,ワケギ由来のPゲノム領域が理論上1/8にまで減少したワケギ由来ネギ系統BC_3(116個体)を作出した.これらの中から旺盛な生育を示したいくつかの個体のペクチン含量を分析したところ,全ペクチンに占めるプロトペクチンの割合が高いというワケギ由来の性質を示す系統が含まれており,本手法を用いることでワケギの食感を有するネギ系統の作出が可能となった.
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