2009 Fiscal Year Annual Research Report
フィトクロムが関与する根茎肥大のメカニズムとその生態的意義の解明
Project/Area Number |
19580036
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
尾崎 行生 Kyushu University, 大学院・農学研究院, 准教授 (60253514)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大久保 敬 九州大学, 大学院・農学研究院, 教授 (80150506)
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Keywords | 遺伝子発現 / 休眠 / フィトクロム |
Research Abstract |
本研究は根茎球根植物である食用ハスを対象として,「根茎肥大」の要因やメカニズムについて明らかにするとともに,「肥大根茎」の低温遭遇による生理的変化について調査することにより,「根茎肥大」と「休眠」との関係を明確にし,「根茎肥大」の生態的意義を明らかにすることを目的としている. 初年度の実験で,低(赤色光/遠赤色光)比率のフィルムで被覆(MKVプラテック「ブルースカイ」を三重被覆)した栽培では長日条件下であっても根茎の肥大が促進されたが,高(赤色光/遠赤色光)比率のフィルムで被覆(MKVプラテック「メガクール」を三重被覆)した栽培を行っても短日条件下での根茎の伸長は見られなかったことから,本年度は被覆程度を異にした栽培での生育を調査した.低(赤色光/遠赤色光)比率のフィルムとして前出「ブルースカイ」フィルムの一重被覆,高(赤色光/遠赤色光)比率のフィルムとして前出「メガクール」の一重被覆を行って,10~14時間の日長処理栽培を行ったところ,対照フィルム区を含め,いずれの被覆区においても短日下では根茎が肥大し,長日下では根茎が伸長した.このことから,(赤色光/遠赤色光)比率の違いがわずかであれば,食用ハス根茎の生育(肥大と伸長)には影響を及ぼさないことが分かった. 次に,日長反応感受部位について明らかにするため,長日条件下で定植2週間後から「無処理(対照)区」,「すべての葉を短日処理する区」,「最新展開葉のみを短日処理する区」,「最新展開葉以外を短日処理する区」での栽培を行い,処理2週間後の生育を比較した.その結果,無処理区以外ではすべて根茎の肥大が認められた.このことから,いずれかの葉で短日を感受すれば,根茎の肥大が起こることが明らかになった.
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