2007 Fiscal Year Annual Research Report
ファレノプシスの形態形成にかかわる生理活性物質の相互作用と動態解明に関する研究
Project/Area Number |
19580039
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Research Institution | Nihon University |
Principal Investigator |
窪田 聡 Nihon University, 生物資源科学部, 講師 (60328705)
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Keywords | ファレノプシス / サイトカイニン / ジベレリン / 開花 / 花茎発生 / 形態形成 |
Research Abstract |
ファレノプシスは約20℃の気温に1ケ月程度遭遇することにより,腋芽が伸長し始め,やがて花茎となり開花する.従来の研究成果から,低温による腋芽伸長にはサイトカイニンとジベレリンが重要な要因となっていることが示唆されている.そこで,本年はサイトカイニンとジベレリンの同定と定量を試みた.実験区は20℃と28℃の2水準とし,処理開始後から腋芽をサンプリングし,常法によりサイトカイニンとジベレリンを抽出し,サイトカイニンはUPLC/MS/MSにて,同定と定量を行った.その結果,腋芽にはcis-Z,t-Z,[9G]Z,[9R]Z,[9R]DHZ,iP,[9R]iPの7つのサイトカイニンの存在が確かめられた.従来のELISA法による測定では[9R]Z量は低温処理開始3〜4週間後に増加したが,質量分析計による今回の測定では低温処理に伴う急激な[9R]Z量の増加は観察されなかった.一方,活性型サイトカイニンとして知られているt-ZとiPの含量は低温処理に伴い大きな変動を示した.t-Zは低温処理開始21日後に高温の6倍量まで増加し,その後減少した.また,iP含量は低温処理開始直後から増加し,高温ではiPは全く検出されなかった.腋芽の新鮮重は低温処理開始14日後からわずかに増加し始め,27日後から著しく増加した.以上のことから,低温処理の開始に伴いまずiP含量が増加する.そして,21日後にはt-Zの生合成が活発になり,これに続いて腋芽の発育が始まると判断された.なお,ジベレリンについては現在分析中である.
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