2009 Fiscal Year Annual Research Report
ファレノプシスの形態形成にかかわる生理活性物質の相互作用と動態解明に関する研究
Project/Area Number |
19580039
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Research Institution | Nihon University |
Principal Investigator |
窪田 聡 Nihon University, 生物資源科学部, 准教授 (60328705)
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Keywords | ファレノプシス / サイトカイニン / ジベレリン / 開花 / 花茎発生 / 形態形成 |
Research Abstract |
本研究ではファレノプシスの花茎発生メカニズムを明らかにするために,植物ホルモンの相互関係とそれらの動態について検討した.実験1では低温期間中の腋芽のサイトカイニン(CK)とジベレリン(GA)の内生量の変化と腋芽の発育開始との関係,実験2では昨年度明らかにしたGAによる頂芽からの花茎発生に対するBAと温度の影響について検討した.実験1腋芽からGA_<53>,GA_<44>,GA_<19>,GA_<20>,GA_1及びZ,[9R]Z,iP,[9R]iPが同定された.iPは低温開始7日後から上昇し始め14日後にピークを迎え,35日後には実験開始時のレベルまで低下した.GA_1は低温開始21日後にかけて徐々に増加し,28日後にピークとなり,その後ほぼ一定となった.以上のことから,ファレノプシスが低温に遭遇すると,腋芽の活性型CK濃度が14日後には通常の約10倍まで急上昇すると同時に,腋芽の発育が始まる.そして,活性型GA濃度が28日後に通常の約170倍まで急激に上昇した結果,花茎が伸長するものと考えられた.実験2頂芽からの花茎発生はGA10mmolの単独施用によっていずれの温度条件においても60%~80%の確率で発生した.また,BAとGAを併用処理すると高温条件においても高い確率で腋芽から花茎発生した.実験1から静止状態にある腋芽の成長開始に先立ってCKのピークが見られることから,BAは高温条件においても腋芽の成長を活性化し,活性化した腋芽にGAが十分に供給されたため花茎発生に至ったと判断された.以上のことから,ファレノプシスの成長中の頂芽および静止状態を解除された腋芽ともに,温度条件の違いにかかわらずGAによって花茎を形成する能力を有しており,ファレノプシスの場合GAが花茎発生を誘導する一義的要因であると考えられた.今後ジベレリンによる花成誘導経路の分子生物学的解明が必要である.
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Research Products
(2 results)