2008 Fiscal Year Annual Research Report
植物の効率的な生体防御反応(プライミング)機構を探る
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19580044
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Research Institution | Yamagata University |
Principal Investigator |
長谷 修 Yamagata University, 農学部, 准教授 (10261497)
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Keywords | 誘導抵抗性 / プライミング / ジャスモン酸 |
Research Abstract |
植物の病原体感染に対する防御反応活性化機構の一つに防御関連遺伝子発現が感染時に瞬時に活性化する機構がある。この瞬時の反応はプライミングと呼ばれている。プライミング機構を解明する鍵となる遺伝子は1)防御遺伝子の発現にかかわる転写因子の持続的な活性化と、2)シグナル伝達系で働くタンパク質の活性化の調節に関与するキナーゼが関わると推察されている。そこで、本研究課題では防御反応の主要な情報伝達系の一つであるジャスモン酸情報伝達系の調節によって誘導されるトマトのプロテアーゼ阻害剤遺伝子(PIN2)を指標として、PIN2発現のプライミングに関与する遺伝子を探ることを目的とした。PIN2の発現誘導よりも速い段階で発現変動する遺伝子を解析するために、メチルジャスモン酸と対照処理2時間目のトマト根部での遺伝子発現をトマトのcDNAマイクロアレイを用いて網羅的に比較解析した結果、約1万遺伝子のうち2倍以上正の調節を受けた遺伝子が186、負の調節を受けた遺伝子が131存在した。このうち約3割の遺伝子の機能は推定されており、転写因子は6遺伝子、キナーゼは4遺伝子存在した。一方、7割の遺伝子の機能は不明であった。 20年度の研究では、ゲノム情報が明らかになっているシロイヌナズナ、イネゲノムのデータベースを活用してより詳細に機能推定を行なった。その結果、転写因子様の遺伝子は18遺伝子含まれることが新たに判明した。また、キナーゼ様遺伝子が8、ならびにキナーゼ以外にもタンパク質の活性化に関与すると推定される遺伝子が10遺伝子存在した。さらに、情報伝達の調節に関与すると予想されるタンパク質の分解系であるユビキチンープロテアソーム系に関わる遺伝子が13存在し、その多くが負の調節を受けていることが明らかになった。
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