2007 Fiscal Year Annual Research Report
植物の細胞死によるウイルス封じ込め戦略に関する研究
Project/Area Number |
19580045
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Research Institution | Tokyo University of Agriculture and Technology |
Principal Investigator |
松下 保彦 Tokyo University of Agriculture and Technology, 遺伝子実験施設, 准教授 (40291348)
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Keywords | 細胞死 / 植物ウイルス / 病害抵抗性 / 植物免疫 / ERF3 / タバコモザイクウイルス / TMV / N遺伝子 |
Research Abstract |
ethylene-responsive element (ERE)-binding factor (ERF)は,エチレン応答性遺伝子の転写を調節する.タバコでは4種類の転写活性化因子(NtERF1, NtERF2, NtERF4及びNtERF5)と1種類の転写抑制因子(NtERF3)が同定されている.近年,NtERF3のNicotiana benthamianaにおける相同遺伝子NbCD1を過剰発現すると,過敏感細胞死が誘導されることが示された.我々は,抵抗性遺伝子NをもつNicotiana tabacumcv. Samsun NN (NNタバコ)にタバコモザイクウイルス(TMV)が感染した際におこる細胞死誘導にNtERF3が関与するかどうかに興味をもち,NNタバコよりNtERF3の単離を行った.NtERF3a (DDBJ accession no.: D38124)に加え、配列の若干異なる遺伝子NtERF3bを新たに同定した.NtERF3bはNtERF3aよりもNicotiana sylvestrisのNsERF3 (DDBJ accession no.: ABO16265)に対する塩基配列の相同性が高く,N. sylvestrisタイプのERF3遺伝子であると考えられた.アグロインフィルトレーション法によりNtERF3をタバコの葉で一過的に過剰発現すると,活性酸素種の産生を伴った細胞死が誘導された.この細胞死はN遺伝子をもたないタバコでも誘導されたことから,NtERF3過剰発現による細胞死誘導にはN遺伝子は必要ないと考えられた.また,TMVを接種したNNタバコでは,過敏感細胞死の誘導に伴いNtERF3のmRNA量が上昇した.これらのことから,NtERF3が病害抵抗性及び細胞死誘導経路に関与していることが考えられ,現在さらにサイレンシング個体などを用いた解析を進めている.
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