2008 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
19580049
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
古屋 成人 Kyushu University, 農学研究院, 准教授 (10211533)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
土屋 健一 九州大学, 農学研究院, 教授 (40150510)
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Keywords | イタドリ / 斑点病菌 / Mycosphaerella polygoni-cuspidati / 内生菌 / 生物的防除 / rDNA-ITS |
Research Abstract |
本研究の目的は、欧米諸国で問題となっている日本原産のイタドリを、原産地の本雑草に寄生している病原菌を利用する伝統的生物防除法の開発を行うことである。これまでに日本においてイタドリに特異的に寄生し、伝搬性並びに病原力の強い病原菌の探索と選抜を行い、さび病菌2種及び斑点病菌1種が優先的に分布していることを明らかにした。しかしながら、さび病菌2種については、異種寄生性あるいは数種の英国産自生植物に対して病原性を示すことを明らかにした。一方、防除素材として有望な斑点病菌の系統分類学的な位置づけを詳細に解析し、新たにイタドリ斑点病菌Mycosphaerella polygoni-cuspodatiとして再記載するとともに、本属関連糸状菌1種を新種M.shimabarensisとして記載した。さらにイタドリ斑点病菌の生活環について長期間の野外調査と室内実験により詳細に検討を重ねることにより、本菌が不完全世代をもたず偽子嚢殻及び精子器のみを有し、群落内でその生活環が完結していることを解明した。しかしながら本菌の子嚢胞子形成がin vitroで認められていないことから、現在、様々な培養条件下での子嚢胞子形成の有無について検討を加えているところである。一方、各種の接種実験の結果より、本菌の菌糸体が感染能を示すことを明らかにした。そこで実際的な接種源として菌糸体の利用可能性が想定されることから、菌糸体による最適接種条件の検討を進めている。イタドリ健全葉内に生息する内生菌の分離頻度を英国と日本とで比較解析を行った結果、日本産では常に内生菌が分離されるのに対して英国産では約60%程度の分離頻度であった。分離された内生菌について形態的特徴並びにrDNA-ITS領域の塩基配列情報に基づき内生菌相の解析を行った結果、両国ともにColletotrichum属菌,Phomopsis属菌,Phoma属菌等が優占的に生息していることを明らかにした。これら内生菌と斑点防菌との相互関係について検討した結果、発病を助長型、無関与型及び発病抑制型の3タイプが存在していることを明らかにしている。今後は,斑点病菌と発病助長型の内生菌を利用した野外実証試験の計画立案と実施を行う予定である。
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Research Products
(3 results)