2008 Fiscal Year Annual Research Report
コナガの抵抗性遺伝子の機能解析と防除への応用に関する基礎的研究
Project/Area Number |
19580055
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
園田 昌司 Okayama University, 資源生物科学研究所, 准教授 (00325127)
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Keywords | コナガ / 殺虫剤抵抗性 / 合成ピレスロイド / ナトリウムチャネル / 選択的スプライシング |
Research Abstract |
昆虫の殺虫剤抵抗性には標的部位の感受性の低下、解毒分解酵素活性の増大、皮膚透過性の低下が関与している。コナガの合成ピレスロイド剤抵抗性の主要な機構としてナトリウムチャネルにおける2つのアミノ酸置換(L1014FおよびT9291)による感受性虫低下が報告されている。これまでL1014FおよびT9291が野外のコナガ系統においてどのくらいの頻度で存在しているのかについて調べられたことはなかった。本研究では野外および室内におけるコナガ系統の両変異の頻度をDNAおよびRNAレベルにおいて調べた。野外系統におけるL1014FおよびT9291の頻度はそれぞれ82.8%から100%、72.9%から94.4%であった。いくつかの昆虫種ではL1014Fに関してRNA編集が報告されているが、コナガにおいては当該領域におけるRNA編集は認められなかった。解析したコナガは、ナトリウムチャネル遺伝子の選択的エキソン18aと18bの発現様式から4つのグループに分けられた。室内系統では全ての個体が18aもしくは18bを含む転写物を同程度に発現していたが、野外系統虫多くの個体は18bを含む転写物をより多く発現していた。また18aと18bが一体化したキメラ転写物を発現している個体も存在した。このようなナトリウムチャネル転写物の存在は本研究においてはじめて報告された。キメラ転写物はイエバエのsuper-kdr(M918T)に相当する箇所においてメチオニンからイソロイシンへの変異(M918I)をコードしていた。M918Iの頻度は野外系統において5.0%から19.4%と低かった。ゲノム構造の解析によりキメラ配列はゲノムにコードされていることが明らかとなった。野外系統においてキメラ転写物を発現する個体が低い頻度なから維持されているのは合成ピレスロイド剤による選択圧がある場合に有利であるためと考えられた。
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