2008 Fiscal Year Annual Research Report
センチニクバエを利用した簡便なトランスジェニック個体作成法の開発
Project/Area Number |
19580057
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Research Institution | Nihon University |
Principal Investigator |
安西 偕二郎 Nihon University, 薬学部, 教授 (30114359)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小林 秀昭 日本大学, 薬学部, 講師 (90344069)
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Keywords | センチニクバエ / トランスポゾン / 遺伝子導入 / トランスジェニック / 昆虫利用 |
Research Abstract |
産業界では多くのタンパク質が利用され、その大量生産がニーズとして存在している。大量生産の一つの方法として個体によるタンパク質生産が注目されている。多くのニーズに応えるためには、効率よく遺伝子組換え個体を作製する方法の開発が必要である。センチニクバエの貯蔵タンパク質は幼虫の体液中で7割を占めるほど大量に発現している。そのプロモーターを利用することにより貯蔵タンパク質の代わりに目的の蛋白質を高い効率で得ることが出来ると考えられる。そこで本研究では、センチニクバエを用いて遺伝子組換え個体の簡便な作製を行うための方法を検討した。昨年度は、遺伝子組換え個体作製のための飼育施設の整備とpiggyBac transposon遺伝子の入手を中心に行った。今年度は、センチニクバエでは遺伝子の導入検討がほとんど行われていないことから導入の検討を中心に行った。まず最初に幼虫に対して遺伝子導入を検討した。これは幼虫体内には体液に囲まれて組織があるため、体液中にDNAを注入すれば組織に取り込まれることを期待してのものであったが、結果的には発現が認められなかった。想定以上にDNAが希釈されたことが原因と考えられた。そこで、次にDNA溶液の拡散がほとんどないと考えられる成虫の胸部背筋に対して注射を行い、注射した領域を挟んで電気穿孔刺激を行った。その結果、導入した遺伝子の発現を2日目に観察することが出来た。センチニクバエ個体において遺伝子の発現ができたのは我々の知る限りではこれが初めてである。今後は宿主ゲノムDNAに挿入されるようにするため、piggyBac transposon遺伝子を含むプラスミドを構築し、transposase遺伝子とともに遺伝子を導入し発現の持続が見られるようになるか検討を進めることや、発現させる新規遺伝子の取得を目指す予定である。
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