2007 Fiscal Year Annual Research Report
昆虫の卵形成制御に関与するタンパク質分解酵素の性状及び活性調節機構の解明
Project/Area Number |
19580059
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Research Institution | National Institute of Agrobiological Sciences |
Principal Investigator |
小滝 豊美 National Institute of Agrobiological Sciences, 昆虫科学研究領域・制御剤標的遺伝子研究ユニット, 主任研究員 (20391550)
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Keywords | 昆虫 / 昆虫生理・生化学 / 生殖 |
Research Abstract |
これまでの研究によって、チャバネアオカメムシにおいて卵吸収に伴うタンパク質分解の場としてろ胞細胞が重要であり、そこでシステインプロテアーゼ型のタンパク質分解酵素、おそらくはカテプシンL様のタンパク質分解酵素が作用することにより卵黄タンパク質などの分解が起こると推定された(Kotaki、2005)。さらに卵巣抽出物ばかりでなく卵抽出物にもタンパク質分解活性が認められた。これらの他いくつかの予備実験の結果に基づいて、卵内に含まれるタンパク質分解酵素がろ胞細胞にとりこまれ、そこで活性化されてビテロジェニンなどのタンパク質を分解するのであろうという作業仮説を設定した。平成19年度は作業仮説の検証を進めるため、卵巣のcDNAライブラリから、既知のカテプシンLと相同性の高い4つのタンパク質分解酵素の遺伝子をクローニングした。それらは、カテプシンL、様の酵素をコードするものが2つ(AB306512、AB306513)、26、29kDaプロテアーゼ様(AB306514)及びカテプシンF様(AB306515)の酵素をコードするものがそれぞれ1つであった。これらの酵素について他と識別可能な抗血清の作成を試み、3つに対する抗血清を得た。残りの1つについては抗体価が上昇しないため再度作成を試みている。得られた抗血清を用いたウェスタンブロティングによって酵素タンパク質の局在を調査し、卵吸収への関与の可能性を検討しつつある。また、卵吸収を誘導する体内要因として、幼若ホルモンの関与が予想されるが、その化学構造はまだ明らかにされていない。そこで、その化学構造の解明を試みた。これまでの情報から推定される構造を持つものを合成し、それと天然物とを比較することによって、チャバネアオカメムシにおける幼若ホルモンの構造を確定した。
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