2007 Fiscal Year Annual Research Report
カイコガ純系系統P50を用いたRNAiの確立、及び鱗翅目昆虫全般への応用
Project/Area Number |
19580061
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Research Institution | The Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
大西 敦 The Institute of Physical and Chemical Research, 松本分子昆虫学研究室, 協力研究員 (50342762)
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Keywords | カイコガ / RNAi / ボンビコール / FATP / TG liase / 性フェロモン |
Research Abstract |
RNA干渉(RNAi)法は昆虫においても、キイロショウジョウバエ、コクヌストモドキではその手法が確立しており、RNAiによる機能抑制から表現形の違いが観察できる。近年、コウチュウ目、バッタ目、ゴキブリ目においてもその効果は実証され、発生、分化のメカニズム解明に利用されている。しかしながら現在まで、チョウ目昆虫ではその成功例がほとんど報告されていない。脱皮、変態、休眠といった昆虫特有の生理現象、それを制御するホルモンの解明には、多種のチョウ目昆虫が利用されており、生化学、分子生物学的な知見が数多く得られている。日本では古くからカイコガが研究に用いられており、その知見や実験技法の蓄積から昆虫生理学においてモデル生物の地位を確立している。また現在はカイコガゲノム、ESTデータベースから目的遺伝子の塩基配列を簡単に知ることができる。このように多種多様な知見、ツールが揃っているカイコガへRNAiの導入方法の確立は急務である。カイコガへのRNAi法の確立、さらには鱗翅目昆虫全般への応用を目的とし研究を進めていく。カイコガ性フェロモン(ボンピコール)生合成メカニズムに関与する遺伝子の機能解析にRNAi法が利用できることは我々がすでに実証済みである。新規のボンピコール生合成関与遺伝子を探索するためにRNAiを遺伝子スクリーニング方法に用いた。その結果、ボンピコール生合成に関与する遺伝子が7個見っかり、その中のfatty acid transport protein(FATP)とtriacylglycerol lipase(TG lipase)については、RNAiによる発現抑制から機能解析を行った。機能解析から、FATPは脂肪酸の細胞内への取り込みに、TG lipaseはTGから脂肪酸の遊離に関与することが示された。
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