2008 Fiscal Year Annual Research Report
カイコガ純系系統P50を用いたRNAiの確立、及び鱗翅目昆虫全般への応用
Project/Area Number |
19580061
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Research Institution | The Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
大西 敦 The Institute of Physical and Chemical Research, 松本分子昆虫学研究室, 協力研究員 (50342762)
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Keywords | カイコガ / RNAi / ボンビコール / FATP / 性フェロモン |
Research Abstract |
RNA干渉(RNAi)法はハエ目、コウチュウ目、バッタ目を含む様々な昆虫においてその手法が確立しており、RNAiによる発現抑制から表現形の違いが観察でき機能解析に利用されている。しかしながら現在まで、チョウ目昆虫ではその成功例がほとんど報告されていない。脱皮、変態、休眠といった昆虫特有の生理現象、それを制御するホルモンの解明には、多種のチョウ目昆虫が利用されており、生化学、分子生物学的な知見が数多く得られている。日本では古くからカイコガが研究に用いられており、その知見や実験技法の蓄積から昆虫生理学においてモデル生物の地位を確立している。またカイコガでは遺伝子データベースが充実しており、簡単に目的遺伝子の塩基配列を知ることができる。このように多種多様な知見、ツールが揃っているカイコガへのRNAi法の確立は急務である。カイコガへのRNAi法の確立、さらにはチョウ目昆虫全般への応用を目的とし研究を進めた。 カイコガフェロモン腺で発現する遺伝子に対してRNAi法は有効に利用でき、これまでにカイコガ性フェロモン(ボンビコール)産生に関与する不飽和化酵素(pgdesat1)、還元酵素(pgFAR)などについて機能解析を行ってきた。今回ボンビコール産生に関与する新規機能分子の探索にRNAiをスクリーニング方法として用いた結果、カイコガfatty acid transport protein(BmFATP)を含む8遺伝子の関与が明らかになった。さらにBmFATPについてはRNAiによる発現抑制からその機能解析を行った結果、BmFATPは細胞外脂肪酸のフェロモン腺細胞内への取り込み、脂肪酸のアシルCoAへの変換に働き、ボンビコール前駆体の貯蔵体である脂肪滴の形成を促進することにより、ボンビコールの産生を調節することが示唆された。
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